米議会でツイッター元セキュリティー責任者が証言、「社内に外国工作員」
(米国)
サンフランシスコ発
2022年09月20日
米国連邦上院司法委員会は9月13日、データ・セキュリティーに関する公聴会を開き、米国ツイッターの元セキュリティー責任者で同社セキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性を内部告発したピーター・ザトコ氏(通称「マッジ」)が証言した。
国防総省高等研究計画局(DARPA)でサイバープログラムの責任者を務めた経験も持ち、有名なハッカー「マッジ」として知られていたザトコ氏は、2020年11月にツイッターに迎え入れられ、2022年1月まで同社のセキュリティー責任者を務めた。同氏は2022年8月に、同社のデータ・セキュリティーに疑問を呈する内部告発文書を連邦機関に提出している(「ロイター」8月24日)。今回の公聴会で、同氏は「(ツイッターに入社した当時)同社は業界のセキュリティー基準から10年遅れていた」と述べた。また、連邦捜査局(FBI)が2022年1月、ツイッターのセキュリティーチームに対し、同社内に中国の国家安全部(MSS)の工作員が少なくとも1人在籍していると警告した、と証言したほか、インド政府が工作員を同社内に配置していたとも主張した(「NPR」9月13日)。
ツイッターは公聴会の後、「本日の公聴会は、ザトコ氏の申し立てがひたすら矛盾と誤りのみで満ちたものであることを裏付けたにすぎない」との見解を発表した(CNN9月13日)。同社は、電気自動車メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)などを務めるイーロン・マスク氏と、同氏のツイッター買収撤回(2022年7月12日記事参照)をめぐり、訴訟に発展している。ザトコ氏の内部告発文書が公になった後、マスク氏は新たな法的申し立ての中で告発内容を引用し、ツイッターは「破損品(damaged goods)」であり、そのようなひどい問題を隠していたことで、同社は詐欺を働いたと主張している(NPR9月3日)。他方、ツイッターは9月13日に臨時株主総会を開き、既に発表されているとおり、マスク氏に対し同社株式を1株当たり54ドル20セントで売却することを承認した。
(田中三保子)
(米国)
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