CCPITアンケート、在中欧州企業は中国市場に引き続き高い期待感
(中国)
北京発
2022年09月08日
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)は8月29日の定例記者会見で、同委員会が在中欧州企業を対象に実施した、ビジネス環境に関するアンケート調査の結果を発表した。CCPITの報道官は「欧州の多国籍企業が依然として中国市場を有望視しており、中国経済の強靭(きょうじん)性と巨大な市場は他国籍企業にとって魅力的な存在だ」とコメントした。
同調査は、CCPITが外資系企業へのサービスを提供するために立ち上げた「専門チーム」が実施し、回答企業数は160社余りとなっている(注1)。
調査によると、在中欧州企業の2022年上半期における事業展開について、19%の企業が「中国事業を拡大した」と回答した。一方で、「生産規模を維持した」は65%、「縮小した」は15%となり、「既存の生産拠点を閉鎖した」という回答は1%にとどまった。
また、CCPITは2022年における欧州企業の対中投資動向について、欧州航空機大手のエアバスが6月に江蘇省の蘇州工業園に研究開発センターを設置したことや、ドイツ化学大手のBASFが7月に広東省湛江市における化学品の「統合生産拠点」の建設計画を最終承認したこと(注2)などを挙げ、大部分の欧州多国籍企業が中国市場の将来性に対して大きな期待感を持っている、と指摘した。
国家統計局のデータベースでは、欧州全域から中国への投資額は2021年以降の数値が公表されていない。他方、2022年8月18日の商務部の定例記者会見では、2022年1~7月におけるドイツからの対中投資実行額は前年同期比23.5%増だったと言及されている(注3)。
なお、中国海関総署の発表によると、2022年1~7月における中国とEUの貿易総額は、前年同期比8.9%増の4,978億9,180万ドルとなり、中国の貿易総額の13.7%を占めた。そのうち、中国のEU向け輸出額は19.7%増の3,305億2,520万ドルで、EUからの輸入額は7.5%減の1,673億6,660万ドルとなった。
(注1)CCPITによる調査のほか、在中EU企業の団体である中国EU商会が2004年から毎年、在中EU企業の業績や課題などの景況感に関する調査を実施しており、2022年6月20日に最新の調査結果を発表している(在中欧州企業アンケート、ブラック)。
(注2)BASFは2018年7月9日、同社にとって世界3位の生産規模を有する化学品統合生産拠点を建設する計画が盛り込まれた覚書を広東省政府と交換した(2018年7月26日記事参照)。同拠点は、2019年11月23日に広東省湛江市で着工し、エンジニアリング・プラスチックや熱可塑性ポリウレタンの生産を予定している。2022年7月19日の同社の発表によると、同拠点は2030年までに完工する見込みで、投資額は100億ユーロに達するとされている。
(注3)ドイツのほかでは、韓国の2022年1~7月の対中投資は44.5%増、米国は36.3%増、日本は26.9%増だった。
(張敏)
(中国)
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