連邦政府、省エネルギーに向けた政令を閣議決定
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2022年08月30日
ドイツ連邦政府は8月24日、省エネルギー(以下、省エネ)に関する2つの政令を閣議決定した。両政令はエネルギー確保法に基づくもので、7月21日発表の天然ガス確保対策パッケージで制定が表明されていた(2022年8月1日記事参照)。エネルギー安定供給の確保へのさらなる貢献や、EU理事会が7月に合意した、加盟国による天然ガス消費量の自主的な削減(2022年7月28日記事参照)の対応を目指す。両政令により、天然ガス消費量を約2%削減できると見込む。
1つ目の政令は、今冬のセントラルヒーティング(CH)使用期間の省エネが目的の短期的なもの。2022年9月1日に施行し、2023年2月28日まで有効だ。(1)一般住宅に関しては、一部の賃貸借契約で一定の室温維持が賃借人に義務付けられているが、政令有効期間中は同義務を免除する。また、天然ガスまたは電気による自宅での温水プールの使用は禁止。(2)公共の非住宅建築物については、廊下や玄関、ホールなど普段あまり人がいないスペースでのCH使用を禁止する。また、オフィスでの推奨最低室温は20度だったが、行われる労働の強度により最高室温を12~19度とする。手洗い場の温水器・瞬間湯沸かし器の電源は切る。建築物やモニュメントのライトアップは禁止。(3)さらに企業での省エネ策として、CHをつけている小売店は暖気を逃がさないよう出入り口ドアを閉めること、電光看板広告の運用は午後10時~翌午後4時まで禁止されることなどが定められた。なお、以上の措置には一部例外もある。
2つ目の政令は、今冬とそれ以降のCH使用期間の省エネを目指す中期的なもの。2022年10月1日に施行し、2年後の2024年9月30日まで有効の予定〔2つ目の政令の成立には今後、連邦参議院(上院)の承認が必要〕。天然ガスを使用するCHが設置された公共建築物・住宅・社屋のオーナーはCHの点検を行うこと、大きな建物のオーナーは天然ガスを使用するCHのバランシング(注)を行うことが求められる。また、年間10ギガワット時以上のエネルギーを消費する企業は、エネルギー効率の改善策を実施する必要がある。改善策としては、照明のLED電球への変更や圧縮空気システムの最適化などが挙げられる。
(注)居室内に設置されているCHのラジエーターに、最適な量の温水が流れるよう調整すること。全てのラジエーターの温度が均一になり、暖房効率が上がる。
(ベアナデット・マイヤー)
(ドイツ)
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