カナダとも加入交渉へ、デジタル貿易協定DEPA
(シンガポール、チリ、ニュージーランド、カナダ、韓国、中国)
シンガポール発
2022年08月29日
デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)合同委員会は8月25日、カナダの加入手続きの開始を決定し、交渉に当たる加入作業部会(AWG、議長はニュージーランド)の設置を発表した。カナダは2022年5月にDEPAへの加入を申請していた(2022年5月24日記事参照)。
DEPAは、チリ、ニュージーランド、シンガポールの3カ国が2020年6月に署名したデジタル分野に特化した協定だ。貿易に係る文書の電子化や国内の電子的な取引の枠組みなどを規定する「ビジネスと貿易促進」(モジュール2)など、16のモジュールで構成されている。「新たなトレンドと技術」(モジュール8)では、信頼され、安全で責任あるAI(人工知能)技術の利用を支援する倫理およびガバナンスの枠組みの採用を促進するよう努める、としている。
DEPAは2021年1月にニュージーランドとシンガポール、同年11月にチリで発効した。DEPAにはこれまでに、韓国、中国、カナダが加入申請を行った。このうち韓国については現在、AWG(議長はシンガポール)での議論が進行している。また、中国については8月、AWG(議長はチリ)の設置を発表した(2022年8月19日記事参照)。
シンガポールのガン・キムヨン貿易産業相は、カナダのDEPA加入申請を歓迎するとともに、「より多くの国が本協定に参加することに期待している」とのコメントを寄せた。また、「DEPAが促進するシステム間の相互運用性と、国際貿易ルールのベンチマークにより、より多くの企業が恩恵を受ける」とした。
DEPA締約国の政府代表で構成されるAWGは、カナダの加入要請を検討し、DEPAの基準と約束を順守する能力について議論し、カナダの加入条件について合同委員会に報告書を提出する。合同委員会が加入条件を承認し、加入候補者(今回のケースではカナダ)に締約国となることを招請する決定を採択した場合には、合同委員会は、加入候補者が加入条件を受け入れることを示す加入書を寄託者に寄託することができる期間を指定する。
(朝倉啓介)
(シンガポール、チリ、ニュージーランド、カナダ、韓国、中国)
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