火災事故の米フリーポートLNGが不可抗力宣言を撤回、米メディア報道
(米国、日本、韓国、英国、フランス)
ヒューストン発
2022年08月15日
米国テキサス州の液化天然ガス(LNG)製造施設のフリーポートLNGを運営するフリーポートLNGデベロップメント(FLNG、本社:テキサス州ヒューストン)は8月10日、同施設で6月に発生した火災事故および稼働停止に対して、当初宣言していた「不可抗力(フォースマジュール、注)」を撤回したと、複数のメディアが報じた。
米メディアによると、不可抗力宣言を理由に、FLNGからLNGを調達する企業は、ガス販売先との契約を不履行とすることもできた。しかし、今回の撤回により、FLNGからLNGを調達する企業は、ガス販売先との契約をFLNGによる不可抗力宣言を理由に不履行とできなくなる。これにより、FLNGからLNGを調達する企業は販売先との契約で定めた供給量を確保するため、上昇したスポット市場価格で代替となるLNGの調達を余儀なくされるという。なお、英国のBPは2040年まで年間440万トン、日本のJERAと大阪ガスは2039年までそれぞれ年間230万トン、韓国のSKとフランスのトタルエナジーズは2040年までそれぞれ年間220万トンの調達契約をFLNGと締結している(ロイター8月10日)。
フリーポートLNGは、日量21億立方フィート(約6,000万立方メートル)のLNGを生産し、年間1,500万トンのLNGを輸出する米国最大級のLNG生産・輸出施設だ。同施設では6月8日の火災事故から稼働を停止しており(2022年6月13日記事参照)、9月の部分的な操業再開、2022年後半の完全操業再開を目指すとしている(2022年6月15日記事参照)。
(注)予測不可能な事象の発生により、契約の履行が不可能または著しく困難になる場合に、契約の一時停止や終了などの対応措置をあらかじめ定める契約書の条項。米国における不可抗力(フォースマジュール)条項についてはジェトロの報告書「米国におけるフォースマジュール条項-実務上の意義および留意点-」も参照。
(沖本憲司)
(米国、日本、韓国、英国、フランス)
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