米台が貿易交渉のマンデートを公表、今秋に第1回交渉を予定
(米国、台湾)
ニューヨーク発
2022年08月19日
米国通商代表部(USTR)は8月17日、台湾と6月に立ち上げた「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」の下での貿易交渉に関するマンデートに合意したと発表した。第1回交渉が2022年の秋口に実施される予定となっている。
米国は5月に、インド太平洋地域の13カ国と「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の立ち上げを宣言した。台湾も加入を希望し、米国議会からの後押しもあったが、バイデン政権は中国の反発を意識してか、台湾を含まないかたちでIPEFを発足させた。そこで別途、米台だけで立ち上げたのがこのイニシアチブとなる(2022年6月2日記事参照)。両者は6月末に、交渉に向けた第1回の協議を開催しており、この度、交渉の範囲を画定するマンデートの合意に至った(2022年6月28日記事参照)。
交渉分野は、これまで公表されていたとおり、(1)貿易円滑化、(2)良い規制慣行、(3)反腐敗、(4)中小企業、(5)農業、(6)基準、(7)デジタル貿易、(8)労働、(9)環境、(10)国有企業、(11)非市場的政策・慣行の11分野となる。関税譲許を伴う市場アクセスは交渉に含まれないが、例えば米側が期待している農畜産物の輸出増に関しては(5)農業で、「科学およびリスクに基づいた意思決定と健全で透明性のある規制慣行の導入を通じ、農作物貿易を促進するための条項を追求する」としている。USTRは3月に発表した「外国貿易障壁報告書(NTE)」の台湾に関する章で、豚肉製品に対するラベリングの要求や、2003年に米国で狂牛病が確認されて以降続く、米国産牛肉の輸入規制などが、非関税障壁に当たるとして懸念を表明している。
米台関係は、8月初頭にナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)が台湾を訪問して以降、活発化している。同議長は訪台中、本イニシアチブへの支持を表明しており、米国議会からも後ろ盾を得ている(2022年8月4日記事参照)。8月12~15日には、上院外交委員会で東アジア・太平洋・国際サイバーセキュリティー政策小委員会の委員長を務めるエドワード・マーキー議員(民主党、マサチューセッツ州)率いる5人の議員団が訪台し、蔡英文総統らと半導体協力を含む経済関係強化などについて会談を行った(2022年8月16日記事参照)。
(磯部真一)
(米国、台湾)
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