英国、ASEANと初の外相会議開催、行動計画に合意
(英国、ASEAN)
ロンドン発
2022年08月10日
英国のアマンダ・ミリング・アジア担当閣外相は、ASEAN外相会合(2022年8月9日記事参照)の翌日の8月4日にカンボジアで開催された第1回英国・ASEAN外相会議(注)の共同議長を務めた。同会議開催は英国が2021年8月にASEANのダイアログパートナー(2021年8月13日記事参照)となってから初。今回の会議では、2022年から2026年の政治、安全保障、経済、国際課題に関する優先事項を概説した「行動計画」に合意した。
行動計画は政治、安全保障、経済、社会文化などの協力分野のほか、ASEANの体制強化などの項目からなる。このうち経済協力に関しては、2021年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)でのコミットメントに従い、持続可能かつ包摂的な開発の促進と公正な移行に資する貿易の推進や、レジリエンス、持続可能性、サプライチェーンの多様化のさらなる理解と強化に向けた連携などを盛り込んで。また、民間投資を含む質の高いサステナブルファイナンスの推進や、低炭素水素、高度民生用原子力、炭素回収・貯留など新興の脱炭素化技術の応用についても開発を進めるとした。
また、会議では、英国の政府系開発金融機関ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメント(BII)の拠点を2022年末までにシンガポールに開設し、インド太平洋地域に最大5億ポンド(約815億円、1ポンド=約163円)を出資することに合意した。
そのほか、ミリング・アジア担当閣外相はインフラコ・アジアがカンボジアの水供給網の開発支援に230万ドルを融資するとした。インフラコ・アジアは、英国政府などが出資する民間インフラ開発グループ(PIDG)によって管理されている。同閣外相はまた、国際的なパートナーらとともにロシアのウクライナ侵攻を非難することを明確にしたほか、ミャンマーでの民主活動家の処刑も強く非難した。
ASEANの気候変動対応対策支援へ、ADBと覚書締結
英国政府は7月6日、アジア開発銀行(ADB)との間で覚書を締結。グリーンファイナンスの拡大や低炭素かつ気候変動に対してレジリエント(柔軟)な開発に向けたASEAN諸国の取り組みを支援するため、1億700万ポンド規模の基金を立ち上げるとした。
(注)ASEANは複数カ国・機関とともにASEAN拡大外相会議を開催し、閣僚レベルで域外諸国との間で広範囲な分野に渡る意見交換を行い、相互の友好関係の強化、地域の平和と安定の環境作りを推進している(外務省資料から引用)。第1回英国・ASEAN外相会議はその一環として開催された。
(山田恭之)
(英国、ASEAN)
ビジネス短信 2ac3f1205ae685db