丸紅、デジタル技術の活用で船舶のCO2削減を目指すコンソーシアムに参画

(米国、日本、英国、フィンランド)

ヒューストン発

2022年08月05日

丸紅は83日、船舶の目的地到着の最適日時を通知する統合システム(Blue Visby Solution、以下、本システム)の開発に取り組むコンソーシアム(Blue Visbyコンソーシアム、以下、本コンソーシアム)に参画したと発表した。

本システムは、日本海事協会の子会社で、船舶の設計・運航支援システムおよびサービスの販売・サポートを行うフィンランドのナパ(本社:ヘルシンキ)のデジタル技術を用いて開発が進められており、船舶の到着日時を最適化し、航行速度の低減と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指すものだ。

本コンソーシアムは、英国の国際弁護士事務所スティーブンソン・ハーウッド(本社:ロンドン)とナパにより共同で運営されている。

海運業においては、速く航走して目的地近辺で待機する「Sail Fast, then Wait」が慣習となっており、結果的に不必要なCO2が排出されている。2019年の世界における貨物船13,000隻による15万航海についての分析、実証研究によると、本システムを用いることで87%の航海において、航行速度の低減、および待機時間の削減が可能としている。

本システムが提示する目的地到着の最適日時に合わせて、航行速度を調整、効率的な経路を航行することで、燃料消費量を削減し、平均16%のCO2の排出を削減できる可能性があるとしている。

丸紅は、運航するガス・ケミカルタンカーの船隊を用い、また化学品取引のネットワークを通じ、本システムの実証・実装を支援し、化学品の低炭素輸送の実現を目指す方針だ。

船舶のCO2削減に向けたその他の取り組みとして、飯野海運(本社:東京都)は202124日、米国のベアリング(本社:カリフォルニア州パロアルト)が開発した船舶の燃費実績格付け(注)最適化ツールを活用した、CO2排出量管理を開始したと発表した(2022年2月16日記事参照)。

(注)AE5段階で毎年の燃費実績を評価・格付けし、一定の評価を下回った船に改善計画の提出と主管庁による認証を義務付けることで、継続的な省エネ運航を促進させることを目的とした規制。

(沖本憲司)

(米国、日本、英国、フィンランド)

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