飯野海運、米社AI技術を活用した船舶のCO2排出量管理を開始
(米国)
ヒューストン発
2022年02月16日
飯野海運(本社:東京都)は2月4日、米国のベアリング(本社:カリフォルニア州パロアルト)が開発した船舶の燃費実績格付け(注)最適化ツールを活用した、二酸化炭素(CO2)排出量管理を開始したと発表した。ベアリングは、2019年創業のスタートアップ企業。飯野海運による長年にわたる運航や船舶管理の知見と、ベアリングによる高精度な人工知能(AI)技術を組み合わせることにより、燃費実績最適化ツールを段階的に導入する方針だ。
世界の海運業界は、CO2などの温室効果ガス(GHG)排出量削減の取り組みを強化している。国際海事機関(IMO)において、総トン数5,000トン以上の国際航海に従事する船舶を対象に、燃費実績の格付け制度を導入するための海洋汚染防止条約の改正案が2021年6月に採択されたことを受けて、2023年1月以降、海運会社には環境に一層配慮した船舶の運航の実現が求められる。船舶の燃費実績格付け最適化ツールを用いることにより、高精度な運航性能の把握、運航中の燃費実績格付けをリアルタイムに把握、将来の燃費実績格付けを予測しCO2 排出量の可視化などが実現可能となり、これらにより、上記の規制を達成するための対策と効果の定量化をはかることも可能となる。
飯野海運は、中期経営計画でサステナビリティへの取り組みを重点強化策の1つに掲げ、温室効果ガス削減をはじめとする環境負荷低減のための取り組みを進めている。飯野海運(U.S.A.)の東ヶ崎健司ヒューストン上級副社長は、今般のベアリングとの協業に関し「燃費格付け開始は2023年1月からだが、当社としては早い段階で準備をしておく必要性を感じていた。今回、両社のニーズとノウハウが合致し、ごく短期間で開発を進められた。本件は環境とデジタルトランスフォーメーション(DX)両方に資する案件で、この様な新技術を生かした協業は米国が非常に得意としている分野のため、今後も先進的な取り組みを強化していきたい」と述べている。
飯野海運とベアリングは、今後も 船舶の燃費実績格付け最適化ツールおよび船舶運航による環境負荷の低減に寄与する、その他AIツールの機能拡張について引き続き協力する方針だ。
(注)A~Eの5段階で毎年の燃費実績を評価・格付けし、一定の評価を下回った船に改善計画の提出と主管庁による認証を義務付けることで、継続的な省エネ運航を促進させることを目的とした規制。
(沖本憲司)
(米国)
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