米船級協会、石油サービスNOVの海底アンモニア貯蔵技術の早期実用化へ新技術認証付与

(米国、ノルウェー、英国)

ヒューストン発

2022年08月31日

米国の船級協会アメリカン・ビューロー・オブ・シッピング(ABS、本社:テキサス州スプリング)は830日、米国石油サービス大手NOV(本社:テキサス州ヒューストン)の海底アンモニア貯蔵技術に新技術認証(NTQ)を提供すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ABSNTQプロセスは、新技術の早期導入し効率的に実装するための指針を提供するもの。新技術の成熟度や、潜在的なリスクがないかも体系的に評価する。

発表によると、今回NTQが付与された海底貯蔵技術は、原油増進回収(EOR、注1)で用いる化学物質や石油、船舶用燃料など、大量の流体を安全に貯蔵するための新しいソリューションを提供することを可能にする。任意の水深への設置が可能で、顧客の要求に応じて貯蔵容量を調整できるように設計されているという。

ABSでグローバルエンジニアリング・技術担当シニアバイスプレジデントを務めるパトリック・ライアン氏は、今回の新技術は特にトップサイド(注2)の貯留スペースが限定的な場合に、海底開発オペレーターの物流パッケージに柔軟性を与え、水中の石油・ガス田の開発段階における貯蔵ニーズの安全性を改善できるとし、「最大の目標は、海洋開発産業界と協力して、安全で信頼できる海底開発を可能にする要素を検証することだ」と述べている。

NOVの研究開発ディレクターのヤン・リッター氏は今回の認証を受け、「エネルギー業界と海運業界双方の世界の温室効果ガス削減戦略に貢献できることを喜ばしく思う」と述べている。

同プロジェクトは、海底貯蔵ソリューションの市場投入を目的に、NOVABSに加え、ノルウェーのエネルギー大手エクイノール、英国石油大手シェル、ノルウェー研究評議会、スコットランドのネットゼロ技術センターが協業している。

ABSは脱炭素化に向けた取り組みを進めており、817日には米国エネルギー省(DOE)から先進的原子炉の商船への利用促進に向けた課題調査のため、80万ドルの契約を受託したと発表している(2022年8月19日記事参照)。

(注1Enhanced Oil Recovery。二酸化炭素(CO2)などを油層内に圧入し、石油を生産井へ押し出すことで石油回収率を高める技術のこと。

(注2)海洋油田・ガス田のある洋上で石油・ガスを生産する設備のうち、船上に置かれるもの。

(沖本憲司)

(米国、ノルウェー、英国)

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