アウディ初の中国EV専用工場着工、長春市を世界一流の自動車都市に
(中国、ドイツ)
大連発
2022年07月11日
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループ傘下のアウディと中国第一汽車集団の合弁メーカー、奥迪一汽新能源汽車は6月28日、吉林省長春市で純電気自動車(EV)専用の新工場の着工式を行った(2022年7月6日記事参照)。式典には景俊海・吉林省共産党委員会書記や韓俊・吉林省長らが参列した。事前の会見で景俊海書記は「奥迪一汽新能源汽車の新エネルギー車プロジェクトが正式に着工したことは、吉林省の経済発展を推進する上で重要な意義がある。吉林省は長春市が世界一流の自動車都市になることを支持する」などと述べた。
アウディとして中国初のEV専用工場の敷地面積は約150ヘクタールで、ドイツ・ネッカーズルム (Neckarsulm)工場を超える見込みだ。新工場では、中国市場向けの新技術「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」(注1)に基づく専用車種生産のため、プレスや溶接、塗装と組み立ての工程以外に、高圧バッテリーの組み立てラインも完備する。また、生産、管理、物流といった全プロセスを完全にネットワーク化し、アウディのスマート物流ソリューションも欧州以外で初めて運用される(「21世紀経済報道」6月30日)。リアルタイムのデータ分析ができるため、川上と川下のニーズの変化に迅速に対応できるようになる。約860台の溶接ロボットや運搬ロボットも導入予定だ。
新工場は、アウディのグローバル生産ネットワークによる環境保護プログラム「Mission:Zero」(注2)も中国拠点として初めて実施する。具体的には、100%グリーン電力使用、太陽光発電システム設置による自社発電、水の循環管理、工場用水の回収率向上などだ。
アウディは、中国高級車市場で2030年までに新エネ車の割合がガソリン車を上回ると予測しており、中国市場の開拓をさらに強化していく予定だ。
(注1)PPEは、アウディとポルシェが共同開発した、幅広いモデルに対応できるよう設計されたEV用モジュラー車台。
(注2)2025年までに全工場の生産工程を全社でカーボンニュートラルを実現させる目標。
(李穎)
(中国、ドイツ)
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