6月の米小売売上高は前月比1.0%増、ガソリン価格の高騰などが寄与
(米国)
ニューヨーク発
2022年07月19日
米国商務省の速報(7月15日付)によると、6月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.0%増の6,806億ドルとなり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.9%増を上回った。なお、5月の売上高は前月比0.3%減(速報値)から0.1%減に上方修正された(2022年6月16日記事参照)。
ガソリンスタンド、無店舗小売り、自動車・同部品などが押し上げ要因に
売上高の前月比の増加は13業種中9業種と広範囲にわたった。業種別にみると、ガソリンスタンドが3.6%増の699億ドル、寄与度0.36ポイントと全体を最も押し上げた。同月の1ガロン(約3.8リットル)当たりの平均ガソリン価格は5ドルを上回り、前年比で60%近くも上昇した。次いで、無店舗小売りが2.2%増の1,052億ドル(寄与度:0.33ポイント)、自動車・同部品が0.8%増の1,279億ドル(0.15ポイント)で増加に寄与した。一方、建材・園芸用品は0.9%減の417億ドルと減少した。
今回の発表は2カ月ぶりの増加となったものの、小売売上高はインフレ調整されていないため、物価高で押し上げられた可能性がある。直近6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%上昇となり、1981年11月以来、約40年半ぶりの高水準に達するなど、米国のインフレはさらに加速した(6月の米消費者物価、前年同月比9)。調査会社キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「6月の小売売上高の1.0%(前月比)の上昇は、主に物価上昇による名目販売額の押し上げを反映しており、見た目ほど良いものではない」「物価の高騰を考慮すると、6月の実質消費はほぼ停滞したように見える」と指摘した。
また、民間調査会社コンファレンスボードが6月28日に発表した6月の消費者信頼感指数は98.7と、5月(103.2)より4.5ポイント減少し、2021年2月(95.2)以来の低水準となった。消費者の見通しは、インフレ、特にガソリンや食品価格の上昇に対する懸念の高まりによって、より厳しいものとなった。内訳をみると、現況指数は147.1(5月:147.4)で0.3ポイント減少、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は66.4(5月:73.7)で7.3ポイントと大幅に減少した。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターであるリン・フランコ氏は同日の発表で、「現況指数は比較的横ばいだったが、期待指数は最近の下落傾向が続き、過去10年間で最も低い値まで落ち込んだ」とし、2022年後半の成長鈍化と年末の景気後退のリスクが高まっている、と指摘。今後6カ月の見通しについては、「個人消費と経済成長は、さらなるインフレと利上げによる強い逆風に直面し続けるだろう」との見方を示した。
(樫葉さくら)
(米国)
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