5月の米小売売上高、前月比0.3%減と5カ月ぶりの減少、自動車購入の減少が響く
(米国)
ニューヨーク発
2022年06月16日
米国商務省の速報(6月15日付)によると、2022年5月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%減の6,729億ドルと、5カ月ぶりの減少になり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.1%増を下回った。なお、4月の売上高は0.9%増(速報値)から0.7%増に下方修正された(関連実写 版 ブラック ジャック)。
自動車・同部品、無店舗小売り、その他などが押し下げ要因に
業種別にみると、自動車・同部品が前月比3.5%減の1,262億ドル、寄与度マイナス0.68ポイントと全体を最も押し下げた。次いで、無店舗小売りが1.0%減の1,029億ドル(寄与度:マイナス0.15ポイント)、家具が0.9%減の122憶ドル、家電が1.3%減の77憶ドル(ともにマイナス0.02ポイント)で減少に寄与した。一方、ガソリンスタンドは4.0%増の660億ドルと増加した。
今回の発表を受け、全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は「小売売上高は、インフレに対する米国人の懸念の高まりと、食料品からガソリンまで全てのコストへの影響を反映している」と述べた。また、NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「物価上昇とサプライチェーン混乱の双方の影響を反映して、各セクターで振れが生じており、金利の上昇は今後の支出を抑制する」との予想を述べた(NRFプレスリリース6月15日)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが5月31日に発表した5月の消費者信頼感指数は106.4と、4月(108.6)より2.2ポイント減少した。同指数は現在の雇用環境や経済状況に質問の重きを置いているが、内訳をみると、現況指数は149.6(4月:152.9)で3.3ポイント減少、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は77.5(4月:79.0)で1.5ポイント減少した。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターであるリン・フランコ氏は同日の発表で、期待指数の低下について、消費者は今後数カ月の間に経済が勢いづくとは考えていないと述べた。自動車や住宅、家電製品などの購買意欲はいずれも冷え込んでおり、金利上昇に加え、消費者が高額商品からサービス支出に軸足を移していることを反映していると指摘した。
一方、米国ミシガン大学が直近6月10日に発表した6月の消費者信頼感指数(速報値)では50.2と、過去最低値を記録した。こちらは現在の家計の支出や収入の状況に重きを置いており、現状指数は55.4(5月:63.3)、期待指数も46.8(5月:55.2)といずれも大幅に減少した。同大学によると、消費者の46%がインフレを景況感悪化の要因とし、5月の38%から大幅に悪化した。
(樫葉さくら)
(米国)
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