ショルツ独首相が南ア訪問、グリーン分野での連携やウクライナ情勢に言及
(南アフリカ共和国、ドイツ)
ヨハネスブルク発
2022年06月08日
ドイツのオラフ・ショルツ首相は5月24日、南アフリカ共和国を初めて公式訪問した。シリル・ラマポーザ大統領と2国間会談を行い、両国間の今後の協力関係の強化、貿易や投資拡大について議論した。ドイツ首相が南アを公式訪問するのは2020年2月のアンゲラ・メルケル氏以来、約2年ぶりのこととなる(メルケル首相がオンライン カジノ)。
ラマポーザ大統領の声明によると、次のようなことが言及された。
- ドイツはインフラ整備の安定、雇用創出などに関する南アの経済再建計画を支援する。
- 2021年のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)において、南アとドイツ、米国やその欧州諸国とEUの間で締結された「公正なエネルギー移行パートナーシップ」()における次に取る具体的なステップについて検討する
会談後、ラマポーザ大統領とショルツ首相は、南アのエネルギー系大手企業サソールを訪問し、グリーン水素技術開発、特にジェット燃料のグリーン化に関して積極的に推進する意欲をみせた。既に、ドイツ連邦経済協力開発省は2021年1月、「南アのグリーン水素経済開発の促進プロジェクト(H2.SA)」に対して1,250万ユーロの資金拠出を決定している(2022年1月31日記事参照)。
今回の訪問中に行われたメディア向けの講演では、安全保障問題としてウクライナ情勢についても言及された。ラマポーザ大統領はロシアに課されている制裁には否定的で、「国際社会が平和的解決に向けて対話と交渉を奨励する必要がある」と述べた。これに対し、ショルツ首相は「ロシアはウクライナに対して侵略戦争を始め、ウクライナの完全性と主権を侵害した」として、「ドイツは他の西側諸国とともに、ロシアの侵略から自国を守るために、ウクライナに軍事的支援などを行っている」と説明した。ロシアに対する制裁には、ロシアからの石油・ガスの輸入停止も含まれており、ドイツ政府は2022年後半にロシアからの石炭輸入を停止した場合、南アや他の国から購入すると述べた。なお、南アは2022年3月に実施された国連総会でのロシア非難決議で棄権しており、引き続き中立の立場をとっている()。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国、ドイツ)
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