南ア、ドイツと連携してグリーン水素の開発・生産推進

(南アフリカ共和国、ドイツ)

ヨハネスブルク発

2022年01月31日

南アフリカ共和国政府は1月17日、北ケープ州ポートノロスで「グリーン水素ステークホルダーエンゲージメント」会合を開催し、ドイツ国際協力公社(GIZ)とともに、「南アのグリーン水素経済開発の促進プロジェクト(H2.SA)」の実施に同意したと発表した。

グングベレ大統領府長官代行は、南アが世界の持続可能な航空燃料の拠点になる可能性を秘めているとした上で、ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)がこのプロジェクトに1,250万ユーロの資金拠出を決定したと述べた。また、会合では、生産拠点となる北ケープ州政府とオランダのロッテルダム港が同港をヨーロッパ向けの水素輸出のハブとすべく合意協定(MoA)に署名した。

南アでは現在、北ケープ州ボホバイにグリーン水素に関連する経済特区(SEZ)が設置され、水素生産のインフラ設備が進められている。また、貿易産業競争省は水素の商業化戦略を策定中だ。今回の会合には、特区の中心的な開発者の南ア大手化学メーカーのサソール、北ケープ州政府、ハウテン州政府関係者らが参加した。

グングベレ大統領府長官代行は、世界のグリーン水素市場の生産拠点としての南アの優位性として、「広大な土地が比較的安価で手に入る」「グリーン水素生産に必要な風力や太陽光など恵まれた地理的環境を有する」「白金族金属の埋蔵量が世界トップクラス」などを挙げた。グリーン水素の生産に必須なプラチナの埋蔵量は南アと隣国ジンバブエで世界の90%を占める。南ア政府は脱炭素社会に向けてグリーン水素産業は潜在的な需要が高いとみて、新型コロナウイルス感染拡大で疲弊した経済と雇用創出の起爆剤として期待している。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、ドイツ)

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