韓国経済界、IPEF参加でGDPは最大2.1%増加と試算
(韓国、米国)
ソウル発
2022年06月16日
韓国の全国経済人連合会(日本の経団連に相当、全経連)は6月12日、インド太平洋経済枠組み(IPEF)参加により(2022年5月23日記事参照)、GDPが最大2.12%増加するとの試算結果を発表した。
報告書は、全経連傘下の韓国経済研究院がまとめた。それによると、IPEF参加国が戦略品目(注1)の対中貿易を規制する場合、対中輸出減少に伴ってGDPの減少が起こりうるが、IPEF参加国への輸出や政府の適切なタイミングで行われる技術革新政策などにより、減少分を十分に補えうるとしている。
試算に当たっては、4つのシナリオを設定した(注2)。対中貿易管理水準を現在の70%とすると、最も大きな経済効果が得られる「シナリオ2」の場合、韓国のGDPは2.12%増加する。他方で、政府の支援策などがない状況で中国が報復的な輸出管理措置を取ることを想定した「シナリオ3」の場合、韓国のGDPは1.61%減少する。
報告書は、IPEFへの参加を契機に韓国の成長を加速させるため、産業競争力を高めるべき、と指摘している。特に、政府の財政的・制度的な支援によって、研究開発(R&D)投資への税制支援の拡大、リショアリングを行う企業への支援の拡大、労働市場の柔軟性の強化、重大災害処罰法などの規制の緩和などを行う必要がある、と提言している。
(注1)ウランを含む鉱物、リチウム・コバルトなどのバッテリー原料を含む鉱物、半導体、通信関連機器などの5品目。
(注2)4つのシナリオは次のとおり。
- シナリオ1:IPEF参加国による戦略品目の対中輸出管理を行う場合
- シナリオ2:シナリオ1に、国内企業への政策的支援、労働と資本の高度化、技術革新の政策的措置を追加した場合
- シナリオ3:シナリオ1に、中国による報復的な輸出管理措置を追加した場合
- シナリオ4:シナリオ3に、国内企業への政策的支援、労働と資本の高度化、技術革新の政策的措置を追加した場合
(当間正明)
(韓国、米国)
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