韓米首脳会談を開催、両国関係を「グローバルで包括的な戦略同盟」に発展へ

(韓国、米国)

ソウル発

2022年05月23日

韓国第20代大統領室は5月20日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と、韓国を訪問(注1)した米国のジョー・バイデン大統領との間で行われた、韓米首脳会談の共同記者会見および共同声明を公表した。今回の首脳会談では、「グローバルで包括的な戦略同盟」に発展させるという目標を共有し、朝鮮半島情勢、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」、経済安全保障を含むサプライチェーンの協力などに加え、直面する地球規模の課題解決のため、軍事安全保障のみならず国際秩序の維持を約束した。

共同記者会見(注2)の冒頭、尹大統領はインド太平洋地域について、「韓米にとっても重要な地域で、秩序をともに構築していく」として、IPEFへの参加を表明した。朝鮮半島情勢に関しては、「両首脳は北朝鮮の完全な非核化という共通目標を再確認し、強力な抑止力が何よりも重要」とした。具体的方策については、「バイデン政権と綿密に協力し、一貫した北朝鮮政策を遂行し、朝鮮半島の平和を守りながら、北朝鮮が対話を通じて実質的な協力に応えるように外交的努力を拡大していく」と強調した。

経済安全保障・サプライチェーンについては、「安全保障の秩序の変化によるサプライチェーンの混乱は、われわれの国民生活に直結している」としつつ、特に「半導体、バッテリー、原子力、宇宙開発、サイバーなど新しい産業分野での実質的な協力を強化していく」と話した。このため、両国の国家安全保障部局間で「経済安全保障対話」を創設し、サプライチェーンや先端科学技術など経済安全保障分野の意思疎通を開始することで合意した。

質疑応答において北朝鮮へのワクチン供与に関し、バイデン大統領は「(北朝鮮にワクチンを)提供する準備はできており、即時に供与できるが、(北朝鮮からの)回答は得られなかった、金正恩総書記と会うかどうかは北朝鮮にかかっている」と述べた。

また、日韓、日米韓関係について、バイデン大統領は「この後日本を訪問し、議論することになるが、日米韓3カ国は緊密に連帯することが重要で、貿易障壁の問題も含め解決していく方法がある」と発言した。

(注1)バイデン大統領の韓国訪問日程は、5月20日に韓国に到着、サムスン電子半導体工場視察、21日に韓米首脳会談および公式晩餐会、22日に韓国軍戦略司令部視察など。

(注2)共同記者会見の模様は外交部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから参照可能。

(当間正明)

(韓国、米国)

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