産業界、IPEF通じたサプライチェーン強靭化に期待

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年06月01日

米国主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」が5月23日に発足したことを受け(ブラック ジャック ディーラー)、マレーシアのイスマイル・サブリ首相は26日、「IPEFはインド太平洋地域とASEANの経済協力を強化すると確信する」「マレーシアは、IPEFを通じて諸課題を議論し、経済的・戦略的利益を最適化する準備ができている」として、特に医療、電気電子産業、デジタル分野がIPEFの恩恵を受けるとの見通しを明らかにした。

これに先立ち、アズミン・アリ国際貿易産業相も23日、IPEF発足は域内の経済政策上の利益が密接に関わっていることの証左だとした上で、メンバー間の経済的関与の深化が持続的な成長、平和、繁栄にとって極めて重要と強調した。アズミン氏は、IPEFが(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラ、(4)税、腐敗防止の4本柱の下で交渉されることに触れ、IPEFは域内の経済協力を強化するとともに、持続可能で包摂的な経済成長の達成に際してのあらゆる価値観(注)を共有するものだと述べた。

マレーシア半導体産業協会(MSIA)はIPEFについて、マレーシアと米国が締結した半導体サプライチェーン強靱(きょうじん)化に関する覚書(関連ブラック ジャック ブラック)とともに、マレーシアの半導体と電気電子産業にとって前向きな進展だと評価した(5月25日付MSIA声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。両枠組みは、重要な半導体ハブとしてのマレーシアの地位を一層堅固にし、半導体サプライチェーンを強靱化することにもつながるとみている。MSIAは、マレーシア企業が半導体不足への対応として製造能力を拡大させつつ、新規投資を引きつけているとしつつ、さらに強固で柔軟なサプライチェーンの構築こそ、半導体産業が市場の不安定性へ対処することを可能にすると述べた。

マレーシア製造業者連盟(FMM)も、IPEF発足を歓迎する声明を発表(5月26日付FMM声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2017年に環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)から離脱した米国との間で、IPEFは正式な経済連携を築く良い出発点になるとコメントした。IPEFは、必ずしも米国市場へのアクセス改善を目指した貿易協定ではないとしつつも、サプライチェーン強靭化、クリーンエネルギーと脱炭素、デジタル経済、労働基準、透明性、規制慣行などに関する共通規範模索に向けて、域内で協議が進むと見通している。その上でFMMは、IPEFから得られる戦略的・経済的利益をマレーシア企業が最大限活用することで、サプライチェーンのハブや投資先としてのマレーシアの優位性が高まるとの期待も示した。

(注)具体的には、「自由、開放的、公平、包摂的、相互に接続した、強靭、安全、繁栄」といったキーワードに言及。

(吾郷伊都子、関淑怡)

(マレーシア)

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