英シェル、再エネ100%電力で米テキサス州の家庭用電力市場に参入
(米国、英国)
ヒューストン発
2022年06月08日
英国石油大手シェル(本社:ロンドン)は6月7日、再生可能エネルギー100%電力提供による、米国テキサス州の家庭用電力市場への参入を発表した。
シェルは、テキサス州内の9割の電力系統運用を行う機関「アーコット」(ERCOT:Electric Reliability Council of Texas)の送電網を用いて、州内の同社顧客に、再生可能エネルギー証書を裏付けとする再エネ100%電力を提供するとしている。
同社は、再エネ100%の電力プランに加え、電気自動車の利用者向けに、オフピーク時間帯の無料充電と固定電気料金を組み合わせた電力プランを提供するほか、太陽光発電パネルを設置した住宅所有者向けに、太陽光発電の余剰電力を買い取り、送電網に供給する電力プランも併せて提供する。発表によれば、現在、世界9カ国で約150万人の顧客にサービスを提供する同社にとって、米国での事業開始は、2050年までにネットゼロを達成するという同社の目標達成に向けた、新たな一歩となるとしている。
シェル・ニュー・エナジーズUSの再生可能エネルギー・エネルギーソリューション担当バイス・プレジデントであるグレン・ライト氏は「私たちは、変化の中にチャンスを見出し続けている」「今回の再エネ100%電力の提供拡大により、私たちはエネルギー転換におけるリーダーシップを発揮することができる」と述べた。
今回のシェルの発表を含め、米国では石油大手による脱炭素化の取り組みが進む。2022年5月17日には、英国のBP(本社:ロンドン)がアイルランドの産業ガス大手リンデ(本社:ダブリン)と連携し、米国テキサス州で新たなCCSプロジェクトの実施計画を発表した(英BPとアイルランドのリンデ、ブラック)。また、2022年5月18日には、米国のシェブロンの子会社であるシェブロンU.S.A.(本社:カリフォルニア州サン・ラモン)がカリフォルニア州サンウォーキンバレーにおいて二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトの立ち上げを発表した(米石油ガス大手シェブロン、加州サンウォーキンバレーでのCCSプロブラック)。さらに、2022年5月25日には、フランスのトタルエナジーズ(本社:パリ)が米国における再生可能エネルギー事業拡大に向け、米クリアウェイ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)を買収する旨を発表した(2022年5月27日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国、英国)
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