供給網逼迫状況に関する指標GSCPIは4月3.29で4カ月ぶりの悪化、米NY連銀発表
(米国)
ニューヨーク発
2022年05月19日
米国ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は5月18日、2022年1月から公表を始めているグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)を更新し、4月のGSCPIは3.29と4カ月ぶりに悪化したことを明らかにした(添付資料図参照)。
GSCPIは、米国内および国際的なサプライチェーンにどれだけ圧力や混乱が生じているかを表す指標で、データ期間の平均をゼロとし、値が大きいほどサプライチェーンが逼迫している状況を表す。これまで公表は不定期だったが、今後は毎月4営業日目に公表するとしている。
NY連銀によると、4月のGSCPI悪化の主な要因としては、中国における配送期間の長期化が寄与度0.35ポイントと最大で、その他、米国からアジアへの航空貨物コストの上昇やユーロ圏における配送期間の長期化なども挙げており、全般的に上海のロックダウンやウクライナ情勢が供給網逼迫に影響をもたらしたことを指摘している。今後、地政学的リスクによる供給網への影響がさらに表面化するに伴い、短期的には一層悪化の恐れがあるとする。
4月の小売売上高は前月比0.9%増で、4カ月連続の増加と堅調な米国の消費需要が鮮明になっているが(2022年5月18日記事参照)、供給網がさらに逼迫すれば、2021年末のような深刻な品不足や商品配送の大幅な遅延が生じる恐れもある。実際に、米国では供給網逼迫や、コロナ禍で休職していた女性が再び働き始めたことなどを背景に、乳児用の粉ミルクが極端に不足しており、政権が輸入増加などの対策に乗り出すなど一部に品不足の兆候がみられる。加えて、5月6日に連邦準備制度理事会(FRB)が発表した2022年第1四半期の消費者信用残高は前期から年率で9.7%増だったが、特にクレジットカードなどによるリボルビング払いが前期比21.4%増と大きく伸びている。貯蓄率がコロナ前の水準まで低下していることを踏まえると、人々は既に給付金などの蓄えを使い果たし、借金をしながら消費をするという、パンデミック以前の消費スタイルに戻っている可能性がある。米国での堅調な需要に供給網が対応できるか、今後の動向が注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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