アグリショーで開催のスタートアップ企業コンテスト、害虫対策のブラジル企業が優勝
(ブラジル)
サンパウロ発
2022年05月16日
4月25日から29日にかけて、ブラジル・サンパウロ州で開催された世界最大規模の農業技術見本市「アグリショー2022」28日、ブラジル農業の近代化および競争力の向上に資するスタートアップ企業の技術を評価し、国内の農業関係者にその存在を広く普及させることを目的としたコンテスト、「プレミオ・アグリショー・スタートアップス」が開催された。
ジェトロが5月3日付でアグリショー事務局に確認したところ、同コンテストに応募したアグリテックのスタートアップ企業数は439社、そのうち11社がファイナリストとしてプレゼンテーションを行い、最終的に3社が表彰された(注)。優勝したタルボスは、農作物の害虫対策ソリューションを提供する企業だ。同社公式サイトによれば、同社のソリューションは、農場に複数設置した害虫の捕獲設備から集められる無料 ゲーム ブラック ジャックをAI搭載の画像認識機能でデータ化する。データ化した無料 ゲーム ブラック ジャックはスマートフォンなどで確認することができるため、農業生産者は農地を歩き回らずに害虫の種類および被害の場所を特定することが可能となる。これにより、必要な箇所に、適切な農薬を、適切な分量で散布することができる。害虫の捕獲設備は衛星インターネットに接続しているため、農家自身のインターネット設備に新規投資することなく害虫のデータを自身のスマートフォンなどで確認できるという。同社のサービスは主に、綿、トウモロコシ、大豆、サトウキビなどの作物生産の過程で使われているが、顧客のニーズに応じて他の作物にも転用が可能だ。第2位となったトライビは、農業向けのデジタル融資プラットフォーマーだ。融資手続きを全てデジタル化し、かつ中小農家のリスク分析を独自のアルゴリズムを介して行うことで、より多くの中小農家が融資を受けられるビジネスモデルを展開している。第3位は、土壌評価ソリューションを提供するビオミフォーオールだ。同社は土壌のサンプルから微生物の種類や量を分析し、土壌の質を評価するサービスを提供している。
同コンテストの審査員を務めたアグリビジネス協会(Abag)のルーカス・ヒベイロ・サステナビリティ部長は4月29日付の公式サイトにて、「スタートアップ企業は、(肥料や農薬など)農業への投入資材の節約から、手続きが複雑な資金調達まで、アグリビジネスのサプライチェーンに存在するさまざまな問題を解決しようとしている。アグリショーでこうした技術を取り上げることにより、農業生産者やアグリビジネス分野の専門家に新たな技術を周知することができる」と説明した。
(注)アグリショー事務局が同コンテスト開催にあたり最初に把握したアグリテック企業群は1,534社。国内アグリテック企業の最新検索データベースでは1,574社となっており(2021年6月14日記事参照)、ブラジル国内のアグリテック企業数は概ね1,500社程度と考えられる。
(古木勇生)
(ブラジル)
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