国内アグリテック企業の最新検索データベースが公開
(ブラジル)
サンパウロ発
2021年06月14日
ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)(注1)、SPベンチャーズ(注2)、オモ・ルーデンス(注3)は5月28日付で、在ブラジルアグリテック企業の所在地の分布やビジネス領域などについて解説した調査報告書「ハダール・アグテック2020/2021」を公開した。
本報告書では、特定のソリューションを持ったアグリテック企業を探しやすくすることを狙いとしており、2021年から検索データベースも公開している。これにより、州・市・ビジネスカテゴリー、生産プロセス別にブラジルのアグリテック企業を抽出することが可能になった(注4)。
同報告書によれば、最新の在ブラジルアグリテック登録企業数は1,574社で、前回調査「ハダール・アグテック2019」の1,125社から約4割増となった。所在地の分布に注目すると、サンパウロ州を含む南東部が983社で全体の62.5%を占める。ビジネス領域別では「革新的な食品、新しい食品トレンド」へのソリューションが293社で全体の18.6%となった(添付資料表参照)。生産プロセスは、農地での生産前・生産現場・生産後の3つに分類し、「生産後」が最も多い718社で全体の45.6%となっている。
「革新的な食品、新しい食品トレンド」のソリューションを提供する企業293社は全て、「生産後」の分類に相当する。当該分類企業の一例を挙げると、例えば、アグリテック企業のNovigaは、ナノテクノロジーを活用し、マーガリンやスナック菓子などに含まれているトランス脂肪酸(注5)の代替品を開発している。同じくアグリテック企業のHakkunaは、コオロギを食材としたプロテインバーやビスケットを製造している。エンドウマメ・大豆・ビートのタンパク質を組み合わせてハンバーガーやソーセージを作るFazenda Futuroといったフードテック企業などもある。EMBRAPAは同報告書で、新型コロナウイルス禍でもアグリテック企業が増加し続けたことを強調した。
(注1)ブラジル農業・畜産・供給省と密接に連携し、食品・繊維・エネルギー生産のために熱帯環境下でのブラジルの農業や畜産の研究・開発を進める組織。
(注2)ブラジルのアグリテック企業に多数投資実績のあるベンチャー・キャピタル。
(注3)クリエーティブでデジタル化した経済に向けたブラジルのコンサルティング、調査、講演などを行う企業。
(注4)AND条件が可能で、探し求めるアグリテック企業をより細かく検索できる。調査報告書、検索データベースともにポルトガル語のみ。
(注5)トランス脂肪酸と部分水素添加油脂の使用に関する規制()は7月から開始される。
(古木勇生、エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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