スエズ運河の通行料、再び値上げに
(エジプト)
カイロ発
2022年03月03日
エジプトのスエズ運河庁(SCA)は2月28日、スエズ運河の通行料に、船の種類に応じて最大10%の追加手数料を課すと公表し、翌3月1日から適用した。同庁は2月1日にも通行料をクルーズ船や液化天然ガス(LNG)船を除いて、一律6%の値上げをしたばかりだ(関連ブラック ジャック カード)。「新型コロナ禍」での世界的な物流コストの上昇の中、さらなる物流価格上昇が懸念される。船種別の追加手数料は以下のとおり。
- 5%の追加手数料対象:原油・石油製品船、ドライバルク船など
- 7%の追加手数料対象:LNG船、一般貨物船など
- 10%の追加手数料対象:LPG(液化石油ガス)船、ケミカルタンカー、その他の液体バルク船など
コンテナ船については手数料を詳細に規定、自動車輸送船は北向き航路のみ適応(南向きは免除)の規定など、例外規定もある。詳細はスエズ運河庁ウェブサイトの通達を参照。
スエズ運河庁によると、追加手数料は運河(水路)の開発とサービス拡充に利用する。運河のうち、単線で一方通行の区域で複線化の計画を進めている。日系物流会社は、国際的な運賃・燃料費の高騰で南アフリカ共和国の喜望峰周りの航路よりも、少ない燃料で済むスエズ運河航路の競争力が高まっており、値上げしても競争力を維持できる環境にあるため、値上げに踏み切ったのではないかと分析している。
スエズ運河の通行料収入は例年50億~60億ドル程度で、エジプトにとって重要な外貨収入源となっている。2021年には通過数が前年比12.8%増の約2万隻、通過重量が過去最高の12億7,000万トンで、過去最高の約63億ドルの収入となった。2022年は今回の通行料の値上げもあり、政府はさらなる収入の増加を見込む。一方で、アジアと欧州間を結ぶ船の多くがスエズ運河を通過するため、日本と欧州間の物流価格にも影響を与えており、関連企業では立て続けの値上げに困惑の声もある。
(井澤壌士)
(エジプト)
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