1月の米小売売上高、前月比3.8%増と2021年3月以来の増加幅
(米国)
ニューヨーク発
2022年02月21日
米国商務省の速報(2月16日付)によると、2022年1月の小売売上高(季節調整値)は前月比3.8%増の6,498億ドルと、2021年3月(11.3%増)以来10カ月ぶりの増加幅になり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.0%増を上回った。物価上昇により消費者景況感は低下しているものの、個人消費は依然として堅調に推移している。なお、2021年12月の売上高は1.9%減(速報値)から2.5%減に下方修正された(2022年1月18日記事参照)。
無店舗小売り、自動車・同部品、総合小売りなどが押し上げ要因に
売上高の増加は13業種中8業種と広範囲にわたった。業種別にみると、無店舗小売りが前月比14.5%増の943億ドル、寄与度1.91ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、自動車・同部品が5.7%増の1,325億ドル(寄与度:1.14ポイント)、総合小売りが3.6%増の721億ドル(0.40ポイント)で増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは1.3%減の544億ドルと減少した。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「1月の小売売上高の大幅な回復は、昨年が低調に終わったことへの反動と物価上昇によってもたらされた部分もあるが、消費者には今年も景気拡大を推進する力がまだ十分にあることを示唆している」と述べた。また、「利上げを受けても消費はしばらく低迷することなく、インフレを抑制という、米連邦準備理事会(FRB)の仕事をより困難なものにしている」と付け加えた(ロイター2月16日)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが1月25日に発表した1月の消費者信頼感指数(速報値)は113.8と、2021年12月(115.2)より1.4ポイント減少し、4カ月ぶりの低下となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現況指数は148.2(12月:144.8)で3.4ポイント上昇した一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は90.8(12月:95.4)で4.6ポイント減少した。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクター、リン・フランコ氏は同日の発表で、短期的な成長見通しに対する期待は弱まり、2022年第1四半期は成長が緩やかになる可能性があることを示唆した。また、先行きについては「物価上昇と進行中のパンデミックによって、信頼感と個人消費の両方が引き続き困難な状況に陥る可能性がある」と指摘した。
(樫葉さくら)
(米国)
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