EU理事会、域外からの入域にワクチン接種の有効期限を導入、ブースター接種も必要

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2022年02月24日

EU理事会(閣僚理事会)は2月22日、新型コロナウイルス対策としてEU域外からの入域制限に関する勧告の改正PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)を採択(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。今回の改正により、域外からの入域において、初回ワクチン接種の証明書に有効期限が設定され、有効期限の経過後はブースター接種の証明書が必要となる。域内移動に関して、同様の有効期限を設定する勧告()が既に採択されていることから、域内外の移動におけるワクチン接種証明書の取り扱いが統一されたかたちだ。

現在、域外からの不要不急の入域が認められているのは、(1)有効な証明書を所持するワクチン接種者および回復者、(2)入域制限措置の解除対象国リストの掲載国・地域()からの旅行者だ。また、EU国籍保持者・域内の長期滞在者とその家族の入域や必須とみなされる目的の旅行者の入域も認められている。

ワクチン接種証明書および回復証明書に関しては、以下の有効期限が新たに設定された。

  • ワクチン接種証明書は、EUが承認したワクチン(2021年12月22日記事参照)あるいは世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに登録されているワクチンの最後の初回接種(2回接種型の場合は2回目、1回接種型の場合は1回目)の14日後から有効となり、有効期限は最後の初回接種から270日間。初回接種の有効期限の経過後はブースター接種の証明書(現時点では有効期限なし)が必要。
  • 回復証明書は、新型コロナウイルス感染症の回復から180日間。

ただし、加盟国は、WHOの緊急使用リストのみに登録されているワクチンの接種証明書や回復証明書の所持者に対して、有効な接種証明書に加えて、出発72時間前までに受けたPCR検査の陰性証明書の提示を求めることができる。また、EUの承認ワクチンを接種済みの場合でも、EUデジタルCOVID証明書(2021年12月23日記事参照)あるいは同等性認定を受けた国・地域が発行する証明書を所持しない場合、出発前のPCR検査の陰性証明書の提示を求めることができる。

6歳以上18歳未満の子供に関しては、ワクチン接種証明書や回復証明書のほかに、出発72時間前までに受けたPCR検査の陰性証明書のみによる入域も認められる。6歳未満の子供に関しては、PCR検査を含めた追加的な要件は課さないとしている。

入域制限措置の解除対象国リストは廃止されず

欧州委員会は勧告案(関連ブラック ジャック トランプ)において、不要不急の入域を原則制限した上で、出発地の疫学的な状況を考慮し指定する入域制限措置の解除対象国リストの掲載国からの旅行者とワクチン接種完了者などに限り入域を認める現在の方式から、同リストを廃止し、出発地にかかわらず旅行者個人のワクチンの接種状況などに応じて入域制限を課す方式への移行を提案していた。しかし、今回の改正では、同リストの解除指定基準を一部緩和するものの、少なくとも4月末までは同リストを廃止せず、出発地の疫学的状況と旅行者個人のワクチン接種状況などを踏まえた入域制限を引き続き適用する。

今回の勧告は3月1日から適用されるが、法的拘束力はないことから、各加盟国が独自の判断で勧告内容を実施することになる。

(注)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインが勧告の対象。

(吉沼啓介)

(EU、EFTA)

ビジネス短信 4f81414bb1a3bb01