欧州委、EU域外からの不要不急の入域制限解除対象国リストの廃止を提案
(EU)
ブリュッセル発
2021年11月26日
欧州委員会は11月25日、新型コロナウイルス対策としてのEU域外からの入域制限に関する勧告の改正案(注)をEU理事会(閣僚理事会)に提案した(プレスリリース)。EU理事会が指定する制限解除国を除き、域外の国・地域からの不要不急の入域を制限するよう加盟国に求める現在の方式を2022年3月1日から廃止すること、および有効なワクチン接種証明書または回復証明書を保持する旅行者に対しては出発国を問わず不要不急の入域制限を原則として撤廃し、EU域内への渡航を認めるべきとすることが提案の柱となっている。
EU理事会は、2020年6月30日付勧告(関連ブラック ジャック サイト)に基づき、疫学的な状況などを考慮して原則として2週間ごとに制限解除の対象国・地域を見直してきた。この方式について、欧州委は「頻繁なリストの改定のため、旅行者は渡航の計画を立てることが困難だった」と評し、廃止によって域外からの旅行者にとっての透明性が高まるとした。
今回の提案は、疫学的な国別の感染状況をベースにした入域制限を改め、必要不可欠の渡航のほかは、個人のワクチン接種または回復証明を入域の事実上の要件とするアプローチへの転換といえる。欧州委は、同じく25日に発表したEU域内移動に関する勧告案の中で、EU域内における移動の原則として「個人ベースのアプローチ」の採用を提唱しており(欧州委、EU域内移動に関する新たな勧告案を発表、無料)、域内外でアプローチを共通化する狙いがある。
有効な接種証明書は域内の提案と同じく最後の接種から9カ月に設定
ワクチン接種完了者に対しては、2021年5月20日付理事会勧告(関連ブラック ジャック ランキング)に基づき、加盟国は既に、リストに不掲載の国・地域からの入国であっても認めることができる。しかし、今回の改正勧告案では、2022年1月10日からの適用を予定する域内での移動に関する勧告案と統一すべく、域外からの渡航者についてもワクチン接種証明書の有効期限を最後の接種から9カ月間とすることを提案しており、今後の入域はブースター接種の実施が前提となる。また勧告案では、有効な接種証明書には世界保健機関(WHO)が緊急使用リストに登録したワクチンの接種証明書も含まれることを明記している。
勧告案が提案どおりEU理事会で採択された場合、2022年1月10日から2月末までは、入域制限解除国の指定については、指定基準を修正した上で継続される。提案ではその間、解除国の指定基準の1つである直近14日間の10万人当たりの感染者数を現行の75人から100人に緩和するなど、対象国をある程度拡大する方針を示している。なお、勧告自体に拘束力はなく、各加盟国は勧告を基にそれぞれ入国制限措置を見直すことになる。
(注)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインが勧告案の対象。
(安田啓)
(EU)
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