EUの2021年の乗用車新車登録台数、新型コロナ危機直撃の前年を下回る

(EU)

ブリュッセル発

2022年01月20日

欧州自動車工業会(ACEA)は1月18日、EU26カ国(マルタを除く、注1)の2021年の乗用車の新規登録台数(暫定値)が970万192台だったと発表した(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。新車販売は春から夏にかけて好調だったが、7月以降は前年同月比で約2~3割減と、下半期に世界的な半導体不足の影響を受けた(添付資料図1参照)。その結果、新型コロナウイルス危機で大きな打撃を受けた2020年を下回る(2.4%減)こととなった。また、欧州4大市場のうち、イタリア(5.5%増)、スペイン(1.0%増)、フランス(0.5%増)は前年比で増加したが、最大市場のドイツは10.1%減と落ち込んだ(添付資料表1参照)。

EV、ハイブリッド車が好調な現代、トヨタがシェア伸ばす

主要メーカー別の市場シェアは、フォルクスワーゲン(VW)グループ(25.1%)、ステランティス(21.9%)、ルノーグループ(10.6%)の順だった。2021年に躍進したのは韓国の現代自動車だ。電気自動車(EV)とハイブリッド車の販売が好調で、新規登録台数は前年比18.4%増(傘下の起亜自動車も含む)と唯一の2桁増で、市場シェアを8.5%とした。トヨタ自動車も健闘し、新規登録台数は前年比9.1%増、市場シェアを6.3%(レクサスも含む)とした(添付資料表2参照)。トヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME)によると、ハイブリッド車の販売台数が前年比19%増となり、トヨタはトルコやロシアなども含む欧州地域でのメーカー別販売台数で第2位となった。

欧州市場のEV販売状況については、自動車業界を専門とするドイツのシュミット自動車リサーチが1月11日、同社調査の暫定値を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2021年の西欧18カ国(注2)のバッテリー式EV(BEV)の新規登録台数(乗用車)は過去最高の約120万台(前年比約6割増)で、全体の11.2%(2020年は6.7%)を占めた。2022年は154万台に達すると同社は予測している。

欧州委員会は2021年7月、2035年までに全ての新車のゼロエミッション化を提案した(関連ブラック ジャック オンライン、注3)。この提案の審議の本格化を前に、メーカー側も2035年に焦点を当て、TMEが「2025年までにゼロエミッション車のモデル数を10まで増やす」、ルノーが「2030年までに欧州で販売する新車を全てEVとする」と発表するなど、対応を加速させている。2022年は欧州自動車市場にとって重要な1年となりそうだ。

(注1)ACEAでは、マルタはデータ入手不可能として、統計に含めていない。

(注2)EU14カ国(ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、デンマーク、アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、スウェーデン)と、ノルウェー、アイスランド、スイス、英国の計18カ国。

(注3)本提案が含まれる欧州委の気候政策パッケージ「Fit for 55」については、ジェトロ調査レポート「『欧州グリーン・ディール』の最新動向(第1回)政策パッケージ『Fit for 55』の概要と気候・エネルギー目標」(2021年12月)も参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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