米インテル、オハイオ州で200億ドル投じて半導体工場を建設へ

(米国)

シカゴ発

2022年01月24日

米国のインテル(本社:カリフォルニア州)は1月21日、米中西部オハイオ州の州都コロンバス市の北東部のリッキング郡に、先端半導体を製造する2つの工場を建設すると発表した。初期投資は200億ドルで、今回取得する約1,000エーカー(約4平方キロメートル)の敷地に最大8つの工場建設を計画しており、実現すれば、同社にとって世界最大規模の生産基地となる見込みだ。先行する2つの工場建設は2022年中に開始し、2025年の稼働を目指す。なお、今回の投資はオハイオ州にとって単一の民間企業による州史上最大の投資となる。

オハイオ州のマイク・デワイン知事は同日、リッキング郡の郡庁所在地ニューアーク市で記者会見を開き、「今日の発表はオハイオ州にとって記念すべきニュースだ」とコメント。同プロジェクトによって、3,000人(平均年収13万5,000ドル、福利厚生は別)の直接雇用と、7,000人の建設雇用を含む総勢2万人の雇用が創出され、州内GDPを28億ドル押し上げる効果が見込まれる。会見に同席したインテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「40年ぶりの新製造拠点がオハイオ州にできることをうれしく思う。オレゴン、アリゾナ、ニューメキシコ各州に次ぐオハイオ州での工場設立に際し、シリコンバレー、シリコンデザートに続く、シリコンハートランドを築きたい」と抱負を述べた。

米国の半導体サプライチェーン強化に貢献

ゲルシンガーCEOはこの会見で、今回の発表に先立ってジョー・バイデン米大統領やジーナ・レモンド商務長官と会談したことに触れつつ、米国内での半導体サプライチェーン構築の重要性をあらためて強調した。また、新工場はオープンイノベーションのための「インテルファウンドリサービス」(注)の需要拡大にも対応するものとし、半導体製造ノウハウや製造環境の共有を通して、米国内のサプライチェーン強化に取り組む意向を示した。さらに、米国で大幅に不足している自動車用チップを含む半導体の国内生産を促進し、国内サプライチェーンを強化することなどを目的とする「CHIPS for America Act」(関連ブラック ジャック トランプ)の早期法案可決を求めた。

なお、オハイオ州議会は2021年7月、10億ドル規模で一定の給与水準を提供するなどの条件を満たした大型投資案件に対して、税控除インセンティブの適用期間の上限を15年から30年に引き上げる法案を可決しており、州として今回のプロジェクトのような大型投資案件の獲得に向けて、周到に準備を重ねてきた姿勢を垣間見ることができる。

(注)半導体メーカーやファブレスの委託を受けて、半導体チップの製造を行う。

(橋本翼)

(米国)

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