ミシガンなど米9州の知事、連邦議会に速やかな半導体産業支援策の成立要請
(米国)
ニューヨーク発
2021年11月17日
米国のミシガン州知事を含む9州の知事は11月10日、米連邦議会上下両院の指導者に対し、半導体の国内生産を加速させるための「Creating Helpful Incentives for the Production of Semiconductors(CHIPS)for America Act」(関連ブラック ジャック カード)で承認された半導体再支給プログラムへの資金提供を求め、迅速な行動を促す書簡を提出した。書簡にはミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事のほか、カリフォルニア州ギャビン・ニューサム知事、イリノイ州J・B・プリツカー知事、カンザス州ローラ・ケリー知事、ケンタッキー州アンディ・ベシア知事、ノースカロライナ州ロイ・クーパー知事、ペンシルベニア州トム・ウルフ知事、ウィスコンシン州トニー・エバーズ知事(以上、いずれも民主党)と、アラバマ州ケイ・アイビー知事(共和党)が署名した。
CHIPS for America Actは、現在米国で大幅に不足している自動車用チップを含む半導体の国内生産を促進し、国内サプライチェーンを強化することなどを目的とする法律。支援枠組み自体は「2021会計年度国防授権法」の一部として既に成立しているが、個別の施策については、別の法律が制定される必要がある。国内の半導体生産と研究を後押しするための予算については、520億ドルが「米国イノベーション・競争法案(S.1260)」に組み込まれており、そのうち20億ドルが自動車メーカーや部品サプライヤーにとって特に重要な「成熟ノード(mature node)」半導体の生産促進に充てられることから、チップ不足の影響を大きく受けている自動車産業への支援策としても期待されている。なお、同法案は上院では6月に可決済みで、現在下院で審議されているものの、可決の見通しは立っていない。
今回提出された書簡で9州の知事は、半導体不足による自動車産業への影響を強調した。2021年第1四半期(1~3月)から第3四半期(7~9月)にかけて、北米の自動車メーカーは当初の生産計画から220万台の車両を失い、組立工場ベースの稼働停止日数に換算すると延べ3,000日以上の損失に相当すると指摘したほか、半導体不足は2022年末から2023年前半まで自動車産業に影響を与え続けるという専門家の予測にも言及した。また、予算の成立が現在の差し迫った半導体需要に対応するだけでなく、数十万人の雇用を創出・保護し、経済を成長させ、製造業者や国防産業基盤のために回復力のある国内半導体サプライチェーンを構築することで国家安全保障を強化するとも述べている。
ミシガン州のホイットマー知事は書簡提出に当たっての声明で「世界的な自動車用チップの不足はミシガン州と全米の州に大きな打撃を与え、工場を停止させ、生産を遅らせ、サプライチェーンの上流や下流にある何千もの自動車関連の仕事を脅かしている」と述べ、 「雇用の保護と競争力維持のためには失う時間がないことは明らかだ」と危機感をあらわにした。
(大原典子)
(米国)
ビジネス短信 5162a7dc1ace32df