トカエフ大統領が安全保障会議議長に就任、周辺国は情勢の安定化を支持
(カザフスタン)
タシケント発
2022年01月07日
燃料価格の値上げをめぐり政府への抗議活動が発生しているカザフスタンで(2022年1月5日記事参照)1月5日、カシムジョマルト・トカエフ大統領が同国の安全保障会議の議長に就任した。安全保障会議は国防・治安を担う最高機関で、ヌルスルタン・ナザルバエフ初代大統領が議長を務めていた。
カザフスタン最大の都市アルマトイでは、大統領府や市庁舎などの政府関連施設、空港施設の一部で抗議活動による損壊などの被害が出たもようで、1月5日には非常事態宣言がカザフスタン全国に拡大されている。トカエフ大統領は、無秩序な抗議活動は許容しない旨の声明を発表し、カザフスタンが加盟する旧ソ連構成国による集団安全保障条約機構(CSTO)に治安維持に関する支援を要請した。
周辺国も、カザフスタンの状況を注視している。隣国ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が1月6日、トカエフ大統領と電話会談を行い、カザフスタン国内の安定化に向けた政府と市民の努力を支持する旨を述べたほか、キルギス、タジキスタン両政府もCSTOの枠内でカザフスタンに対して支援を行う用意があるとの声明を発表している。
カザフスタンの首都ヌルスルタン在住のブラック ジャック 攻略・コレスポンデント増島繁延氏によると、1月6日午後6時(日本時間:午後9時)の時点で、ヌルスルタン市内では目立った混乱はみられず、バスなどの公共交通機関は通常どおり運行している。遮断されていたインターネットへの接続も回復しつつある。デビットカードでの電子決済は行われているが、1月6日は銀行店舗が営業を停止したため、現金を求める市民が現金自動預払機(ATM)の前に行列をつくる場面も見られた。ショッピングモールでは、営業を停止している店舗が通常より目立つ状況となっている。
(高橋淳)
(カザフスタン)
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