燃料価格に対する抗議デモを機に、マミン首相が辞職
(カザフスタン)
タシケント発
2022年01月05日
カザフスタン南西部マンギスタウ州ジャナオゼン市で1月2日、液化石油ガス(LPG)価格の値下げを求める市民の抗議活動が発生した。抗議活動は他都市にも広がり、4日には同州全体と最大都市アルマトイで2週間の非常事態宣言が発令された。国内ではインターネットへの接続が遮断されている(1月5日現地時間正午時点)。
アスカル・マミン首相は当初、事態を把握するべく、政府委員会の創設などを指示していたが、5日に事態の責任を取るとして辞表を提出。即日、カシムジョマルト・トカエフ大統領に受理された。大統領はアリハン・スマイロフ第1副首相を首相代行に任命し、政府による燃料価格の統制を指示するなど、事態の収拾を急いでいる。
抗議活動の発端となったLPGの値上げは、同製品の電子商品取引場での売買実現に向けた段階的措置の一環で、採算が伴わない現状の小売販売価格の調整が目的とされる(タス通信1月4日)。一方、カザフスタン在住日本人からは「今回のLPG値上げは単なるきっかけであり、背景には伸び悩む賃金や最近の物価全般の上昇に対する民衆の不満など、社会・経済構造に根差した問題がある」との指摘も出ている。
(高橋淳)
(カザフスタン)
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