2021年の新車登録台数は前年比1%増、EVが大幅増
(英国)
ロンドン発
2022年01月13日
英国自動車製造販売者協会(SMMT)は1月6日、2021年の新車登録台数を発表した。2021年の新車登録台数は前年比1.0%増の164万7,181台となり、1992年以来2番目に低い水準になった。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年比では28.7%減だった。これらの結果についてSMMTは、新型コロナウイルス感染症流行の継続的な影響のほか、自動車業界の半導体不足を要因として挙げている。用途別では、私用車が7.4%増の80万2,504台、社用車は4.7%減の3万2,648台となった。
燃料車種別にみると(添付資料表1参照)、ディーゼル車が前年比48.1%減の13万5,773台と大幅減で、ガソリン車も15.7%減の76万2,103台だった。一方、バッテリー電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)はそれぞれ76.3%増、70.6%増、34.0%増と大きく登録台数を伸ばし、これらのシェアの合計は27.5%となった。特にBEVは新車登録台数が19万727台と、2016年から2020年までの同登録台数の合計を超えた。
登録上位車種をみると、英国ボクソール「コルサ」に続き、米国テスラ「モデル3」のBEVが3万4,783台で2位にランクインした(添付資料表2参照)。なお、日本車の新車登録台数は前年比2.7%増の26万4,255台で、シェアは前年の15.8%から0.2ポイント増加して16.0%になった。2021年のBEV、PHEVの登録上位車種については、1位はそれぞれテスラ「モデル3」、BMW「3シリーズ」となった(添付資料表3、表4参照)。
SMMTのマイク・ホーズ会長は、新車モデルの5分の2がプラグイン技術を使用しており、2021年はクリーンで環境に優しい自動車における記録的な年だったと評価しながらも、「(BEVの)価格と充電インフラの普及問題がネットゼロ目標に向けた最大の障壁をもたらしている」とし、BEV新車購入補助金減額の取り消しと公共の路上充電設備の整備を加速すべきだと強調した。
電気自動車(EV)購入補助金を再び減額へ
BEVの新車登録台数が伸びている中、英政府は2021年12月15日、同年3月18日に発表したBEV、PHEVの新車購入補助金について、2,500ポンド(約39万2,500円、1ポンド=約157円)から1,500ポンドに再び減額すると発表。さらに、対象となる車両の価格上限を3万5,000ポンドから3万2,000ポンドに引き下げた(注)。SMMTのホーズ会長は、再び補助金が減額されたことについて、「英国のドライバーはゼロエミッションへの移行に取り残される恐れがある」と、BEV需要や道路輸送の脱炭素化への影響を懸念した。
(注)英政府は2021年3月にもBEV、PHEVの新車購入補助金をこれまでの3,000ポンドから2,500ポンドに、対象となる車両の上限価格も5万ポンドから3万5,000ポンドに引き下げていた(2021年5月13日付地域・分析レポート参照)。
(オステンドルフ・七海・ありさ)
(英国)
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