イングランド銀行、政策金利の引き上げ発表、年0.25%に

(英国)

ロンドン発

2021年12月17日

英国のイングランド銀行(中央銀行)は12月16日、政策金利を0.15ポイント引き上げ、年0.25%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルス感染拡大以降、利上げによる金融政策の正常化に踏み切ったのは、日米欧の主要中銀では初めてとなる。同行の利上げは2018年8月を最後に、3年4カ月ぶり。

今回の利上げ決定の背景には、今なお続く物価高騰があるとしている。イングランド銀行は、インフレ率2%を持続的に達成することを目標としているものの、エネルギー価格の高騰などを要因に、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.1%を記録。さらに、2022年4月には6%にまで上昇するとみられており、金融引き締めが求められたかたちだ。

12月15日まで開かれていた金融政策委員会(MPC)で、利上げの是非については、賛成8人、反対1人の賛成多数で可決した。他方、債券購入による量的緩和策については、英国債買い入れ枠8,750億ポンド(約132兆1,250億円、1ポンド=約151円)と投資適格社債(注)買い入れ枠200億ポンドの総額8,950億ポンドの資産買い入れ枠を維持することを全会一致で決めた。

オミクロン株の感染拡大が経済に与える影響は不透明

一方で、英国では新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」により、新型コロナへの脅威が再燃している。12月8日にはボリス・ジョンソン首相が「プランB」への移行を発表、マスク着用義務や在宅勤務の勧告など関連規制の強化を発表した(関連ブラック ジャック ルール)。これに伴い、イングランド銀行は2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率予測を0.6%と、11月4日に発表した1.0%から0.4ポイント下方修正した。さらに、オミクロン株の拡大は2022年第1四半期(1~3月)のGDPを押し下げる要因にもなるとの予測を示している。

(注)債務不履行リスクが低いと考えられる信用力の高い社債。

(尾崎翔太)

(英国)

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