欧州自動車工業会、欧州委の気候変動パッケージに一貫性求める

(EU)

ブリュッセル発

2021年12月06日

欧州自動車工業会(ACEA)は11月29日、欧州委員会が7月に提案した気候変動に関する政策パッケージ「Fit for 55」(関連ブラック ジャック やり方)の一部である「乗用車・小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則」改正案に対するポジションペーパー(意見書)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。意見書では、同改正案と同パッケージの他の要素、中でも「代替燃料インフラ規則」案との一貫性の確保を求める提言が柱となっている。また、改正案に基づく2025年、2030年、2035年それぞれのCO2排出基準目標(関連ブラック ジャック オンライン)に対するACEAの評価を示している。

一貫性の観点でACEAは、Fit for 55の各要素は相互に強い関連があるにもかかわらず、野心の水準に差があると指摘。具体的には、代替燃料インフラ規則案では2030年時点の充電ポイント数を390万基程度に設定しているが、電気自動車の普及には700万基が必要であり不十分だとした(注)。さらに、同規則案とCO2排出基準に関する規則案が欧州議会の異なる委員会で審議されている点を挙げ、2つの法案が一体的に審議されなければ一貫性が確保されないと主張している。ACEAのエリック・フイテマ事務局長は、一部のEU加盟国は代替燃料インフラ規則案の充電ポイント設置目標を引き下げる動きさえ示しているとし、同法案がEU理事会(閣僚理事会)で今後審議される上で強く懸念していると述べた。

新規則案の2030年目標値に対し厳しい見方示す

CO2排出基準に関する規則案の今後5年ごとの目標値については、まず2025年の目標値を現行規則と同水準〔2021年の排出ベースライン(基準)値に対して15%の削減〕に据え置いたことを歓迎した。規則案に基づく2030年の目標値(同じく2021年比で乗用車は55%削減)については「非常にチャレンジング(難易度が高い)」と評し、達成にはゼロエミッション車市場の急拡大が不可欠であり、十分な充電と水素燃料補給インフラの整備が伴わなければ実現は困難だとした。また、小型商用車(バン)に対する2030年の目標値50%削減については、中小企業など産業部門への影響などを考慮すると「極めてチャレンジングであり、非現実的だとすら言わざるを得ない」と乗用車以上に厳しい見方を示した。2035年の目標値については、「現時点での設定は時期尚早」として、同目標値は2028年の見直し時を目途にあらためて設定すべきとの立場を表明した。

(注)代替燃料インフラ規則案に対してACEAは別途11月19日に、より詳細なポジションペーパーを公表している(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(安田啓)

(EU)

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