ミャンマー代表者不在の中でASEAN首脳会議開催
(ASEAN、ブルネイ、ミャンマー)
ジャカルタ発
2021年11月04日
ASEAN首脳会議が10月26日にオンライン形式で開催された。会議後に発表された共同声明では、ブルーエコノミー分野(注)など複数の分野で共同宣言が採択されたほか、ASEAN経済共同体(AEC)の取り組みの進捗確認も行われた。なお、10月15日に開催された緊急ASEAN外相会合(EAMM、2021年10月20日記事参照)の決定により動向が注目されていたミャンマーは欠席し、同国を除く9カ国の首脳で開催される異例の事態となった。
主要成果として、多国間協力の重要性を認識する「多国間主義支持に関するASEAN首脳宣言」の採択が挙げられた。また「ブルーエコノミーに関するASEAN首脳宣言」も採択され、国際法に沿うかたちで域内外の国々との協力を進めていくという原則を確認した。さらに、気候変動問題に関しては、気候変動枠組み条約(UNFCCC)とパリ条約の目標達成にASEANとして貢献することを再確認し、「『国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)』に関するASEAN共同宣言」を採択した。
ASEAN経済共同体(AEC)分野では、「バンダル・スリ・ブガワン・ロードマップ(BSBR)」(2021年9月16日記事参照)のASEAN経済担当相会合による承認を歓迎した。また、非関税措置のさらなる削減の必要性を認識するとともに、「非関税措置(NTM)費用対効果ツールキット(NTMツールキット)」の導入を歓迎した。
地域大および国際的事項では、南シナ海の問題について触れ、「ASEANの複数の国が南シナ海での埋め立てや深刻な事象に懸念を示した」とした。
ミャンマーはASEANに引き続き協力表明
ASEAN首脳は、ミャンマーで行われている暴力行為などについて懸念を示すとともに、4月のASEAN首脳級会議で決定した「5項目の合意」(ASEAN首脳級会議を開催、ブラック)の履行をあらためてミャンマーに求めた。ミャンマー外務省は10月26日に声明を発表し、「ブルネイから、実務者の代表として外務事務次官宛てに首脳会議への招待が来た」と明らかにし、「首脳会議への参加者を格下げすることはASEAN憲章の目的に反する」した上で、参加を見送った。一方で「今後も『5項目の合意』履行を含め、ASEANに対し建設的に協力していく」とした。
(注)海洋資源などを持続可能なかたちで活用する経済で、社会全体を発展させていくコンセプト。
(上野渉)
(ASEAN、ブルネイ、ミャンマー)
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