9月の米小売売上高、前月比0.7%増で2カ月連続増、サプライチェーン混乱の懸念高まる
(米国)
ニューヨーク発
2021年10月18日
米国商務省の速報(10月15日付)によると、9月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.7%増の6,254億ドルと、2カ月連続の増加となった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の0.2%減を上回った。なお、8月の売上高は0.7%増(速報値)から0.9%増に上方修正した(関連トランプ ゲーム ブラック)。
総合小売り、ガソリンスタンド、自動車・同部品などが押し上げ要因
業種別にみると、総合小売りが前月比2.0%増の720億ドル、寄与度プラス0.22ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、ガソリンスタンドが1.8%増の509億ドル(寄与度プラス0.14ポイント)、自動車・同部品が0.5%増の1,228億ドル(同プラス0.11ポイント)で増加に寄与した。一方、ヘルスケアは前月比1.4%減の320億ドルと減少幅が大きかった。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「堅調な小売売上高は、個人消費の回復力と価格上昇の両方を反映している」とした。「現在の主な懸念は、サプライチェーンの混乱や半導体の不足が拡大していることにより、(消費者の)選択肢が制限され、商品の需要が抑制されているようにみえることだ」と指摘した(ロイター10月15日)。
サプライチェーンの世界的な混乱が広がるなか、ジョー・バイデン大統領は10月13日、米国の供給網の逼迫を緩和するために、西部カリフォルニア州の港湾や労働組合などと協議し、夜間・週末の運営時間の拡充などの措置を講じている()。
また、民間調査会社コンファレンスボードが9月28日に発表した9月の消費者信頼感指数は109.3と、8月(115.2)より5.9ポイント減少し、3カ月連続の減少となった。内訳をみると、現況指数は143.4(8月:148.9)で5.5ポイント減少し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数も86.6(8月:92.8)で6.2ポイント減少した。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は、新型コロナウイルスのデルタ変異株感染拡大の持続で消費者の楽観度が減少しており、「短期的なインフレ懸念はやや緩和されたが、引き続き高い水準にある」とした。また「歴史的にみれば、消費者信頼感は依然として高く、短期的にはさらなる成長を支えるに十分なものの、指数は6月に記録した直近のピーク(128.9)から19.6ポイント低下した」と述べた。先行きについては、「消費者はより慎重になってきており、今後消費が抑制される可能性が高い」と指摘した(添付資料図参照)。
(樫葉さくら)
(米国)
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