8月の米小売売上高は2カ月ぶりの増加、新型コロナ感染再拡大によりサービス消費は横ばい
(米国)
ニューヨーク発
2021年09月24日
米国商務省の速報(9月16日付)によると、2021年8月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.7%増の6,187億ドルと、2カ月ぶりの増加になった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の0.7%減を上回った。なお、7月の売上高は1.1%減(速報値)から1.8%減に下方修正された(関連ブラック ジャック 無料)。
無店舗小売り、総合小売り、食品・飲料などが押し上げ要因に
業種別にみると、無店舗小売りが前月比5.3%増の884億ドル、寄与度は0.73ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、総合小売りが3.5%増の707億ドル(0.38ポイント)、食品・飲料が1.8%増の758億ドル(0.22ポイント)で増加に寄与した。一方、自動車・同部品は前月比3.6%減の1,215億ドル(マイナス0.73ポイント)と減少幅が大きかった。
英国経済調査会社キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マイケル・ピアース氏は「財への支出は予想をはるかに上回ったが、これはここ数カ月にみられた品不足に拍車をかけるものと思われる。一方、レストランやバーへの支出が横ばいになっていることは、サービス消費のより広範な回復がおそらく鈍化したことを示唆している」と指摘した(ブルームバーグ9月16日)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが8月31日に発表した8月の消費者信頼感指数は113.8と、7月(125.1)より11.3ポイント減少し、2021年2月(95.2)以来の低水準となった。内訳をみると、現況指数は147.3(7月:157.2)で9.9ポイント減少し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数も91.4(7月:103.8)で12.4ポイント減少した。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターであるリン・フランコ氏は、消費者信頼感が低下している理由について、「新型コロナウイルスのデルタ変異株感染拡大に対する懸念に加え、ガソリンや食品の価格上昇などにより、現在の経済状況や短期的な成長見通しに対する見方を悪化させている」とした。また、「住宅、自動車、家電製品の消費意欲はいずれもやや冷え込んだが、今後6カ月以内に休暇を取得する人は引き続き増えている」と述べ、景況感の低下が今後数カ月の消費者支出の大幅な抑制につながると結論付けるには時期尚早だと指摘した。
(樫葉さくら)
(米国)
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