英政府、不足するトラック運転手と家禽労働者に短期ビザを発給
(英国)
ロンドン発
2021年09月28日
英国政府は9月25日、EU離脱(ブレグジット)後の移民制限などが原因で、トラック運転手や食品加工業者の労働力不足が継続している(関連ブラック ジャック トランプ)ことに対し、短期労働ビザの発給などの対応策を発表した。
政府は、重量物車両(HGV)運転手5,000人と家禽(かきん)産業の労働者5,500人に、2021年12月24日までの約3カ月間有効な就労ビザを発給する。これにより、物流業界を短期的に救済し、クリスマスに向けて食品産業を含めたサプライチェーンの逼迫を緩和する。同ビザの支給対象者の募集は10月から開始される。英国ビザ・移民局(UKVI)は、運輸省、環境・食糧・農村地域省と協力し、ビザ申請をタイムリーに処理できるように準備を進めている。
また、運輸省は、主要物流業界団体(ロジスティクスUK、RHA)や運転免許庁(DVLA)と共同で、現在HGVの運転免許を持っている全ての運転手に、業界への復帰を促すため、賃金の引き上げや柔軟な働き方など、道路運送業界が労働環境の改善のために行っている措置を記載した約100万通の手紙を送付することで合意した。
ガソリンなど燃料のタンクローリーの運転手には、安全に関する追加資格が必要なため、政府は物流業界と協力して、運転手ができるだけ早く資格を取得できるよう努めるとしている。
「パニック買い」で給油スタンドに長蛇の列
9月24日付の現地報道によると、英国石油大手BPはタンクローリーの運転手が不足しており、燃料輸送に影響が出ているため、9月23日から一部の給油スタンドを閉鎖した。この発表から、多くの給油スタンドで長蛇の列ができ「パニック買い」が発生し、BP以外の給油スタンドでも燃料輸送が間に合わず枯渇した店舗がみられた。英国には約8,000カ所の給油スタンドがあり、ガソリン小売業者協会(PRA)によると、会員である約5,500カ所の店舗のうち、多くの店舗で燃料の不足または枯渇状態に陥ったとしている。
(宮口祐貴)
(英国)
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