英政府、北アイルランド議定書の変更提案
(英国、EU)
ロンドン発
2021年07月26日
英国政府は7月21日、アイルランド・北アイルランド議定書の現状の問題点を示し、その変更に関する交渉意向を示した議会提出文書を公表した。文書では、議定書が現在十分に機能しておらず、その目的を達成できていないことを概説しており、ベルファスト合意の全ての側面を担保する唯一の手段は、英国とEUの関係を安定させる持続的な「新たなバランス」を達成するような大きな変更を議定書に与えることだとしている。
英国政府は、これまで議定書の運用に向けて誠実に取り組んできたものの、議定書の運用に関する問題は顕著かつ深刻化しており、議定書第16条で定めている一方的な緊急措置の適用が正当化される状況としつつも、EUとの合意に基づくアプローチにより、北アイルランドと英国、EUで将来にわたって機能する安定的かつ永続的な解決策に到達することを望むとしている。そのためには、物品移送に関する措置と制度枠組みの修正が必要とし、分野ごとの変更点を提案している(添付資料参照)。
グレートブリテン島から北アイルランドへの物品移送をめぐっては、英国のEU離脱移行期間終了後からさまざまな緩和措置が取られており(関連ブラック ジャック ルール、英政府、ブラック ジャック)、6月には英国政府が議定書の進捗状況評価を行っていた(関連ブラック ジャック サイト)。今回の文書では進捗が見られないとしていた物品移送に関する部分を中心に、完全な通関手続きや衛生植物検疫手続きの適用については真に(genuinely)EU向けの物品に限るなどの変更点を提案している。
欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(EU機構関係・将来展望担当)は同日、声明を発表。英国政府と引き続き協議し、議定書の枠組みの中で解決策を模索する用意があるとしながらも、議定書自体の再交渉には応じないとしている。
(飯田俊平)
(英国、EU)
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