ニューサウスウェールズ州、EV戦略を発表
(オーストラリア)
シドニー発
2021年06月25日
オーストラリアの最大都市シドニーを州都とするニューサウスウェールズ(NSW)州政府は6月20日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)予算案の一環として、今後4年間で4億9,000万オーストラリア・ドル(約411億6,000万円、豪ドル、1豪ドル=約84円)を投じる電気自動車(EV)戦略を発表した。
同戦略では、EVへの切り替えを促進するため、7万8,000豪ドル未満のバッテリー式EV(BEV)や水素燃料電池自動車(FCV)の購入に対して、9月1日から印紙税を免除する。また、同1日以降にNSW州内で個人が購入した6万8,750豪ドル未満のBEVやFCVのうち、最初の2万5,000台を対象に、1台当たり3,000豪ドルを還付する。さらに、充電インフラ拡充に1億7,100万豪ドルを拠出するほか、2030年までにNSW州政府が所有する公用車をEVへ切り換えるため、3,300万豪ドルを充当するとした。
将来的には、EVが新車販売台数の3割を占めた段階か、2027年7月1日のどちらか早いタイミングで、プラグインハイブリッド車(PHV)を含むその他全てのEVに対しても印紙税を免除し、その代わりに走行距離1キロ当たり2.5セント(0.025豪ドル)の道路利用税を課す方針を明らかにした。道路利用税は、ビクトリア(VIC)州で7月1日から課税が始まるほか、南オーストラリア州でも導入を予定している。道路整備の財源となっている燃料税の負担を伴わない、あるいは負担の少ないEV、PHVなどに対して、道路利用の公平性を求める狙いがある(2020年の自動車販売は13.7%減、EVは3倍増も世界に遅れ(ブラック)。
VIC州もEV購入に補助金
道路利用税を課す一方でEV購入を促進するため、VIC州政府も2021/2022年度予算案に総額4,600万豪ドルの補助金プログラムを盛り込んだ。2021年5月2日以降に購入された6万8,740豪ドル未満のBEVやFCVに対して、1台当たり3,000豪ドルの補助金を支給する。VIC州政府は、補助金プログラムによって2万台以上のゼロ排出車(ZEV)の購入を支援し、2030年までに新車販売台数に占めるZEVの割合を50%に引き上げることを目指している。
(住裕美)
(オーストラリア)
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