経済・エネルギー省、2社の蓄電池関連技術の開発に総額1億500万ユーロ助成
(ドイツ)
ミュンヘン発
2021年05月10日
ドイツ経済・エネルギー省は4月27日、機械メーカーのマンツ(Manz)と自動車部品メーカーのエルリングクリンガー(ElringKlinger)による蓄電池関連技術の開発に対し、2026年末までに総額1億500万ユーロを助成すると発表した。両社が本社を構えるドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク(BW)州政府も助成を行う。
欧州委員会とドイツを含む複数のEU加盟国は2019年から「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」()の枠組みで、域内の次世代電池サプライチェーンの構築を目指している。今回のマンツとエルリングクリンガーへの助成は、既に発表していた次世代電池支援の第2弾(ブラック ジャック ルール、2月4日記事参照)の具体的金額を明らかにしたものだ。
マンツはBW州ロイトリンゲンに本社を置く機械メーカーで、2020年の売上高は2億3,680万ユーロ、従業員数は1,382人(2020年末)。マンツへの助成額は総額7,130万ユーロで、うち、経済・エネルギー省が4,990万ユーロ、州が2,140万ユーロを負担する。マンツは今回の助成を受け、「未来のリチウムイオン電池工場」と名付けられたプロジェクトを推し進める。同プロジェクトでは、第3・4世代のリチウムイオン電池の完全自動化生産を行うための機械・プロセスの開発を行う。投入される機械と生産プロセスはデジタル化された、費用対効果の高いものとなる予定。
エルリングクリンガーはBW州デッティンゲンに本社を有する自動車部品メーカーで、軽量化技術やシールド、ガスケットなどを扱う。2020年の売上高は14億8,040万ユーロ、従業員数は9,724人(2020年末)。同社は次世代自動車向け技術の開発も早くから進め、蓄電池技術は10年来取り組んでいる。エルリングクリンガーへの助成額は総額3,370万ユーロで、経済・エネルギー省が2,360万ユーロ、州が1,010万ユーロを助成する。同社は今回の助成を受けて、リチウムイオン電池セルケースの開発・製品化を行う。新たなデザインなどにより、セルケースの部品点数を減らし、構造を簡素化することでアルミニウムや銅などの使用量を減らす。同社によると、製造工程や材料使用量の削減で、製造過程での二酸化炭素の排出を約4割減らせるという。
次世代電池に関する第2弾のIPCEIの助成を受けるドイツ企業11社のうち、今回のマンツとエルリングクリンガーを含めて、これまでに計7社への助成額が発表された(、4月26日記事参照)。経済・エネルギー省によると、今後数週間で他の企業への助成額も順次発表する予定。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
ビジネス短信 a694d76d0124534f