2021年の農村向け新エネ車の普及活動始まる
(中国)
上海発
2021年05月10日
中国の江蘇省常州市に位置する溧陽市で4月29日、農村での新エネルギー車普及活動の開幕式が行われた。中国工業ブラック ジャック コツ化部弁公庁など4部門が3月31日に発表した「2021年新エネルギー車下郷(農村普及)活動を展開することに関する通知」に基づいて行われたもので(2021年4月14日記事参照)、江蘇省や山西省、吉林省など12の省市を対象に、農村部での新エネルギー車の普及活動が実施される。
今回の活動は2020年7月に発表された「新エネ車の農村への普及活動に関する通知」に続くもので(2020年9月11日記事参照)、同年に比べて対象となる省市や企業、車種が大幅に増加した(添付資料表参照)。また、2021年のテーマは「グリーン、低炭素、スマート、安全」としており、新たに「低炭素」というキーワードを加えた。中国政府が掲げる2060年のカーボンニュートラル目標(注)を意識したものとなっている。
中国汽車工業協会の師建華副秘書長は「2020年に実施した活動で計20万台以上の新エネルギー車の販売増加が見られた。対象となった車種の2020年下半期の販売台数は前年同期比80%増となり、新エネルギー車市場の回復に効果的だった」と評価した(「科技日報」2021年4月30日)。車種別では、上汽通用五菱の宏光MINIと長城汽車の欧拉R1など小型電気自動車(EV)が2020年の新エネ車の販売台数の上位にランクインした。
江蘇省工業信息化庁の黄萍副庁長は開幕式で、「農村地域では(ステーション不足などによる)充電の難しさ、アフターサービスの欠如、交通安全意識の低さなどの問題がある。江蘇省は今回の活動を通じ、農村への車両販売を増やすだけでなく、充電施設の建設や交通法規の浸透、金融サービスの展開、車両メンテナンスの拡大などをパッケージで展開し、問題を解決する契機としたい」と述べた。
2021年1~3月の新エネ車販売台数は51万5,000台と前年同期の3.8倍、新型コロナウイルス感染前の2019年の同期と比べても72.2%増となっている。車載半導体不足という懸念要因があるものの、政府の政策的後押しを受け、2021年も下半期に新エネルギー車の販売の増加が予測されている。
(注)習近平国家主席が2020年9月22日の国連総会でのビデオ演説で、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに削減に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロとする目標。
(高橋大輔)
(中国)
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