エストニア、ブラック ジャック ディーラー
(エストニア、デンマーク)
ワルシャワ発
2021年04月16日
エストニアの国有電力企業エースティ・エネルギア(Eesti Energia)は4月14日、デンマークの発電事業者ヨーロピアン・エナジー(European Energy)から10年間で3.8テラワット時(TWh)の再生可能エネルギーを購入する契約を締結したと発表した。今回の電力購入契約は、電力取引量としてはバルト地域で最大規模となる。現在、ヨーロピアン・エナジーがリトアニアで建設中の3基の風力発電所で発電し、2023年から供給を開始する予定。ヨーロピアン・エナジーは欧州を中心に世界16カ国で陸上・洋上風力発電や太陽光発電を展開している。
今回のヨーロピアン・エナジーとの契約により、エースティ・エネルギアは、購入した再生可能エネルギー由来の電力を同社の顧客へ固定価格で長期間にわたって提供することが可能になる。エースティ・エネルギアは2021年だけで、テレコム企業などを含めた100社以上のバルト地域の大手企業との間で、再生可能エネルギー由来の電力供給の契約を結んでいる。
一方、国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、2019年時点でエストニアでは国内で発電する電源構成の7割近くを石炭が占めており、EU(注1)の平均(14.0%)と比較して突出している。石炭の分類にはオイルシェール(注2)も含まれており、エースティ・エネルギアはエストニア東部でオイルシェールによる発電事業も行っている。同社によると、オイルシェール産業は同国GDPの4~5%を構成する巨大産業となっているが、環境負荷の大きいオイルシェールによる発電からの脱却が、エストニアのエネルギー政策の課題になっている。2021年1月に発足したカヤ・カラス新政権(2021年1月28日記事参照)は発足時に、2035年までにオイルシェールによる発電を停止する方針を発表している。
(注1)英国を含む28カ国。
(注2)有機物ケロジェンを含む堆積岩。エストニアでは、オイルシェールをそのまま炉で燃料として燃やして発電している。
(吉戸翼)
(エストニア、デンマーク)
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