英国政府、EUからの輸入手続き緩和措置を2022年まで延長へ

(英国、EU)

ロンドン発

2021年03月15日

英国政府は3月11日、EUからグレートブリテン島への輸入手続きの緩和措置を、最長で2022年2月まで延長することを発表した。政府は2020年6月、英国のEU離脱(ブレグジット)後の移行期間が終了する2021年1月1日から6月30日までの6カ月間にわたり、EUから同島への輸入手続きを段階的に導入すると発表。緩和措置は4月に縮小し、7月には全ての品目で正規の輸入手続きを義務付けることになっていた(関連ブラック ジャック ブラック10月15日記事参照)。

政府は今回の発表について、新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応しながら、国境手続きの変更に備えなければならない企業のために準備時間を確保し、経済が徐々に再開する際の混乱を最小限にするため、としている。改定の内容は以下のとおり(添付資料表参照)。

  • 2021年9月末まで、動物由来製品(POAO)、動物副産物(ABP)、非動物由来高リスク食品(HRFNAO)の事前通知と、POAOとABPの衛生証明書は不要。
  • 税関輸入申告について、2021年12月末まで、商品の輸入後6カ月以内に補足申告(SD)を提出するなどの申告の延期が可能。
  • 2021年12月末まで、安全性・セキュリティ申告(Safety and Security declarations、電子搬入略式申告)が不要。
  • 2021年12月末まで、POAO、ABP、HRFNAOの衛生植物検疫(SPS)の現物検査は不要。2022年1月1日からは、グレートブリテン島の国境管理施設(BCP)で実施。
  • 2022年1月1日から、高リスク植物のSPSの現物検査も、現在実施されている商品の搬送先ではなく、グレートブリテン島のBCPで実施。
  • 2022年1月1日から、低リスク植物および植物製品には、事前通知と植物検疫証明書を含む書類検査が必要に。
  • 2022年3月1日から、生きた動物、低リスク植物、植物製品の各種検査を、グレートブリテン島のBCPで実施。

デイビッド・フロスト内閣府国務相は声明で「2020年6月に発表した計画は新型コロナウイルス感染拡大第1波の影響を考慮したものだったが、混乱は予想より長引き、深刻だった」とコメント。今回の緩和措置延長により「『新型コロナ禍』という困難な時期の後に、輸入企業が取引を再構築することが可能になる」と、その意義を強調している。

英国政府は3月初旬、グレートブリテン島から北アイルランドへの食品や小包の移送に関する手続きの緩和措置を延期することを公表していた(欧州委、ブラック ジャック3月9日記事参照)。今回の延期発表は、ブレグジット後の国境手続きへの対応が、北アイルランドだけでなく全国で難航していることをあらためて示す格好となった。

(飯田俊平、宮口祐貴)

(英国、EU)

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