イスラエルがUAEに大使館設置、UAEも設置を閣議決定
(イスラエル、アラブ首長国連邦)
テルアビブ発
2021年01月26日
イスラエルの現地紙「エルサレム・ポスト」は1月24日、イスラエルが同日付でアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに大使館を設置したと報じた。前駐トルコ大使のエイタン・ナーエ氏を臨時大使に指名し、正式な大使が任命されるまでの間、大使館機能を充実させるなどの任務に当たるという。ナーエ氏はこれに先立ち、UAEでの大使館設置を準備する外交官として指名されていた(1月5日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙)。同氏はテルアビブ大学で中東の歴史学、政治学を専攻した後、イスラエル外務省に入省、2度のトルコ駐在のほか、北米やアゼルバイジャン、英国でも駐在経験がある。
他方、UAE政府も1月24日に開催された年初の閣僚会合で、イスラエルのテルアビブに大使館を設置することを正式に閣議決定した。UAE政府公式ツイッターや国内各紙が報じている。
2020年9月15日に米国ホワイトハウスでUAEとイスラエル両国が署名した2国間協定には、正式な国交樹立と相互の国家承認、それに伴う大使館設置も明記されていた()。既に官民学でさまざまな連携事例が発表されていたが、UAEの大使館設置は署名から約4カ月経っての決定となった。
民間人の渡航は既に活発だ。とりわけイスラエルからUAEに向け、ビジネス目的のみならず、数万人ともいわれる多数の観光客が訪れている。年末年始には世界最大級の商業施設ドバイ・モールで買い物をするイスラエル人観光客の姿も多く見られた。
両国への渡航は、双方でビザなし渡航を認める協定が10月20日に署名され、翌月に両国が批准していた。新型コロナウイルス禍の影響で、UAE側は7月1日までビザ免除措置の開始を延期していたものの、現状は観光などのビザを取得することでUAE入国が可能となっている。
ただし、イスラエル政府は1月24日、新型コロナウイルスの変異種が国内に侵入することを防ぐ目的で、ベングリオン空港の国際線離発着を1月25~31日に制限するとの措置を発表した。ワクチン接種で先行する両国で、感染状況が今後改善すれば、両国間の往来が再び活性化することが期待される。
(吉田暢、山村千晴)
(イスラエル、アラブ首長国連邦)
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