自動車大手FCAとPSAが経営統合、新会社ステランティス設立へ
(米国)
シカゴ発
2021年01月07日
自動車大手のフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)と、「プジョー」や「シトエロン」のブランドを有するプジョーS.A.(グループPSA)の株主は1月4日、それぞれの株主総会で両者の対等な経営統合を承認した。両社は1月16日に統合新会社「ステランティス(Stellantis N.V.)」を設立する予定で、これにより次世代自動車に必要な研究開発をより効率的に行うことができるようになる。
FCAとPSAの経営統合が完了すると、年間売上高は2,030億ドル超に達し、販売台数では790万台と、フォルクスワーゲン、トヨタ自動車、日産・ルノー・三菱に次ぐ、世界第4位の自動車メーカーとなる。両社は2019年12月に対等合併で正式に合意していた。最大の課題だった欧州委員会による調査についても、2020年12月21日に、トヨタ自動車への小型商用車のOEM供給拡大などを条件として統合が承認された。
新会社では、PSAのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)が最初の5年をCEOとして務め、フィアット創業家出身でFCA会長のジョン・エルカン氏が会長となる。また、FCAのマイク・マンリーCEOはステランティスの米国部門を率いる予定だ。本社はオランダに置き、株取引はミラノとパリで18日に、ニューヨークで19日にそれぞれ開始される。
自動車業界では近年、CASE(C:相互通信、A:自動運転、S:シェアリング、E:電動化)など次世代自動車技術への巨額投資が求められる半面、電気自動車や自動運転の普及にはまだ時間がかかると見込まれ、収益化に至っていない。そこで、米国自動車大手フォード・モーターとドイツのフォルクワーゲンの提携()のように、提携や経営統合により車両のプラットフォーム、エンジン、新技術への投資を最適化し、規模を拡大することでシナジー効果を追求することが求められている。これまでもFCAは自動運転技術で米アルファベット傘下のウェイモと、また、PSAはフランスの自動運転ベンチャーのイージーマイル()や米ニュートノミーらと提携している。さらに、相互通信技術については、両社は韓国サムスン電子グループのハーマン・インターナショナルと提携しているほか、FCAはグーグルとも協力している。今回の経営統合によって、研究開発の規模拡大と投資効果の向上が見込まれる。
(河内章)
(米国)
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