米年末商戦、オンラインのみでの購入者が急増
(米国)
ニューヨーク発
2020年12月07日
全米小売業協会(NRF)は12月1日、米国の年末商戦の始まりとされる感謝祭(11月26日)から翌週月曜日(11月30日)までの5日間の買い物客数を発表した。合計は1億8,640万人となり、2019年の1億8,960万人から減少したものの、2018年の水準(1億6,580万人)を上回った。
2020年は新型コロナウイルスの影響でオンラインによる購入が一段と加速し、感謝祭から5日間のオンラインのみでの購入者は前年同期比44%増の9,570万人と大きく伸びた。感謝祭翌日の「ブラックフライデー」には、オンライン購入者数は前年比8%増、ブラックフライデー翌日の土曜日の購入者数も前年比17%増と好調に推移した。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大を受け、今年は多くの小売業者が店舗を休業したことから、感謝祭当日の実店舗への来客数は前年比55%減、「ブラックフライデー」も同37%減と、いずれも大幅に減少した。小売り向けコンサルティング企業センサーマティック・ソリューションズのシニアディレクター、ブライアン・フィールド氏は、例年と比較して小売り各社が「ドアバスター」と呼ばれる店頭限定の目玉商品の提供を控えたことや、消費者の購買行動がオンラインへ移行していることなどもあり、店舗での混雑状況を緩和させたと指摘した(「ビジネスワイヤ」11月28日)。
5日間の消費者1人当たりの平均支出額は前年同期比14%減の311.75ドルと2019年の361.90ドルを下回ったものの、2018年(313.29ドル)とほぼ同水準だった。
NRFが買い物客を対象に実施したアンケート調査によると、今回は多くの小売業者が10月からセールイベントを開始した中で、52%が前倒しで実施されたホリデーセールやプロモーションを利用したと回答した。また、パンデミックが個人消費に与える影響について、55%がホリデーシーズンの支出計画に影響はないと答え、51%がホリデーシーズンの装飾品や季節商品の購入に興味を示した。パンデミック以前よりも中小企業を積極的に支援したいという回答者も77%に上った。
NRFの会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「消費者は早めにホリデーショッピングを開始するよう心掛けていたが、多くの人々は感謝祭の週末にかけて、店舗およびオンラインで家族や友人のためにギフトを購入するという長年の伝統を守る準備もできていた」と述べた。
NRFは年末商戦期間(11~12月)全体の小売売上高について、前年同期比3.6~5.2%増の7,553億~7,667億ドルになるとの見通しを発表している(2020年11月27日記事参照)。
(樫葉さくら)
(米国)
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