バイデン氏、次期政権の経済分野の要職人事案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2020年12月01日

米国の次期大統領就任が確実なジョー・バイデン前副大統領は11月30日、財務長官をはじめとする次期政権における経済分野の要職人事案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン氏は指名した候補者らについて「このチームは経済危機のさなかに米国民へ迅速な経済的救済を提供し、われわれがこれまでより良い経済を築くことを助けてくれる」との声明を出している。

今回発表された要職ポストは財務長官、同副長官、行政管理予算局(OMB)局長、大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長と委員2人の計6人となる。いずれも過去のオバマ、クリントン民主党政権などに関わりのある人物となっている(添付資料表参照)。米主要メディアは人選について「人種、性別における多様性を意識しながらワシントンでの経験が豊富な人物を選んだ」(「ブルームバーグ」電子版11月30日)、「バイデン次期政権の経済政策立案は、経済成長のツールとして労働者支援に重きを置いたリベラルな専門家によって形作られるという明確なメッセージを送った」(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版11月30日)などと評している。

財務長官候補の指名を受けたジャネット・イエレン連邦準備制度理事会(FRB)前議長は自身のツイッターで「回復のために、われわれは米国の夢を取り戻す必要がある。すなわち、人々がその潜在力を発揮でき、子供たちのためにより大きな夢を抱ける社会だ。財務長官として私は、全ての人々のためにその夢を再構築すべく日々働いていく」と発言している。財務長官らの人事は今後、上院議会での承認を要するが(注)、議員の発言や主要メディアの報道によると、イエレン氏の指名に関しては上院議会で承認される公算が高いとみられる。

一方で、今回発表された候補者のうち、OMB局長候補のニーラ・タンデン氏に関しては、承認が難航する可能性が早くも指摘されている。ミッチ・マコーネル上院院内総務(ケンタッキー州)のアドバイザーや、ジョン・コーニン上院財政委員(テキサス州)の広報担当者などは既に、タンデン氏が承認される可能性はないと発言している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版11月29日)。同氏は中道左派系シンクタンクのアメリカ進歩センターの所長を務め、オバマ政権時には保健福祉省でオバマケアの制度設計に関わっており、共和党議員の中には同氏をリベラル過ぎると見る向きもある。

(注)上院での承認手続きは11月3日に行われた選挙結果を踏まえて、2021年1月3日に開始となる第117議会で行われることになる。しかし、2議席が改選となっていたジョージア州では11月3日の選挙で決着がつかず、2021年1月5日に決選投票が行われる予定。その結果次第で、いずれの党が多数党を押さえるかが決まる(米連邦上院選、ブラック ジャック)。

(磯部真一)

(米国)

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