連邦議会、再生可能エネルギー法(EEG)の改正案を可決、産業界は支援を要求

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2020年12月28日

ドイツ連邦議会は12月17日、再生可能エネルギー法(EEG)の改正案を可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法案は、9月に閣議決定されたもので、2020年内の法制化を目指していた(2020年9月30日記事参照)。2021年1月1日に発効する。

同法案では、2050年までにドイツで発電・消費される電力について気候中立(温室効果ガスの排出実質ゼロ)を達成する目標が初めて法律上に明記されたほか、2030年までに総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を65%まで増やすという目標を達成するため、再生可能エネルギーの具体的な導入計画が示されている。ペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相は、同改正について「さらなる気候保護と再生可能エネルギーの増加のための将来に向けた明確なシグナル」とコメントしている。

産業界からは、今回の改正を不十分とするコメントが多く出されている。ドイツ産業連盟(BDI)は「エネルギー転換(Energiewende)を成功裏に進めるためには、根本的な改革を至急進める必要がある」とのコメントを発表。欧州理事会(EU首脳会議)が2030年の温室効果ガス削減目標引き上げで政治合意した()ことから、政府はさらなる再生可能エネルギー導入拡大が不可欠となるだろう、とした上で、目標達成のための金銭的補助策やその財源が明示されていないと批判、早急にこれを示すよう求めた。ドイツ機械工学産業協会(VDMA)も「今回の改正は部分的な成功に過ぎない」とし、今後の再生可能エネルギーの拡大ための財源を明確にするよう要求。また今後、導入拡大に伴う企業負担を念頭に、経済的かつ環境保護の観点から、再生可能エネルギーの導入拡大を持続可能なかたちで進めるためには、税制やEEG賦課金など現行システムの抜本的な改革が不可欠としている。

2020年の再生可能エネルギー導入は総電力消費量で約46%に

ドイツの連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)は12月14日、2020年の総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合について、前年より3.8ポイント増加し、46.3%に達するとの試算を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。BDEWとZSWは、同結果について、新型コロナウイルスの影響により、総電力消費量が前年比で4.4%減少したことを要因として挙げる一方、特に第1四半期に風力発電による発電が好調だったほか、天候に恵まれたことで太陽光発電による発電も11.8%増加したことも寄与したと分析している。BDEWの執行委員会の委員長を務めるケルステン・アンドレエ氏は「2020年も再生可能エネルギーのシェアは増加したものの、消費電力が少ないことにかさ上げされた数値で、再生可能エネルギーの拡大が十分に速く進んでいないことを意味する」と指摘している。

(森悠介)

(ドイツ)

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