ギニア湾で海賊による身代金目的の誘拐が増加、2020年1~9月は全世界の約1割を占める
(コートジボワール、アフリカ)
アビジャン発
2020年10月27日
西アフリカのギニア湾で、海賊による身代金目的の誘拐が増加しており(2020年8月5日記事参照)、同海域を航行する船舶の安全・警備に対する脅威が高まっている。10月14日に発表された国際海事局(BMI)のレポートによると、全世界の海賊・武装強盗事案の発生件数は2020年1~9月に132件(前年同期119件)となり、このうち14件がギニア湾で発生した。
また、身代金目的誘拐に巻き込まれた乗組員は85人に上り、このうち80人がナイジェリア、ベナン、ガボン、赤道ギニア、ガーナ海域のギニア湾で人質として誘拐されており、前年より40%増えている。10月17日には、赤道ギニアとトーゴ沖で、それぞれ液化天然ガス(LNG)運搬船と石油タンカーが襲撃され、フィリピン人船員が身代金目的の人質として誘拐されたばかりだ。
BMIによると、この地域の海賊団は、機関銃とナイフで武装し、高度に組織化されており、広範囲にあらゆる種類の船舶を標的にしているという。
かつて船舶航行の安全に対する脅威として、国際的に大きな関心を集めたソマリア沖・アデン湾における海賊事案発生件数は、国際社会の海賊対処取り組みにより、2011年ごろをピークに減少傾向にあり、2020年8月には同地域で誘拐された最後の人質3人が解放されるなど、沈静化している。
(渡辺久美子)
(コートジボワール、アフリカ)
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